「ヘイトフル・エイト」 濃厚タランティーノ・ムービー
タランティーノ監督の新作。バイオレンス・コミックを映像にしたようなドハデな西部劇である。
南北戦争後のワイオミング、幌馬車に載った4人の男女が服飾店(といってもサロンのような店づくりのロッジ)にやってくる。その中には賞金稼ぎと捕らえたお尋ね者の女親分がいる。店には退役軍人など4人の先客がいた。
外は吹雪。8人はこの店で一夜を過ごすことになる。胡散臭い連中ばかり、ヘイトフル・エイトである。職業も言うこともあてにならない。この中にお尋ね者の女の仲間がいると疑い、警戒を強めるが、それが誰だかはわからない。
賞金稼ぎの一人は黒人(サミュエル・L・ジャクソン)。黒人蔑視のニガーなどという表現もふつうに出てきて、南北戦争後らしいセリフが飛び交う。皮肉っぽい会話が交わされる。
女盗賊はデッド・オァ・アライブのウオンテッド。生死を問わず懸賞金がかかっているが、賞金稼ぎは言う。絞首刑執行人の仕事を奪っちゃいけないからね。洒落た会話だ。
そして、コーヒーに仕込まれた毒で二人が死亡する。犯人は不明。ここからクライマックスに向かって銃が炸裂する。
誰がコーヒーに毒を入れたか、タランティーノお得意のプレイバックがある。
で、これで映画は終了かと思ったらそうではなかった。事態はまだ終わっていなかった。延長戦といいおうか、二段のサゲ、ここからがジェット・コースター、クライマックスが二度訪れるのである。
このあたり、タランティーノの独壇場である。観てのお楽しみ。
ジェット・コースターであるが、ラストは叙情的。ネタバレになるから言えないが、ちょっとだけ言うと、リンカーンからもらったという手紙が出てくる。真贋はともかくとして、その内容は深い。
ついでのひとこと
後半だが、女お尋ね者のジェニファー・ジェイソ・リーの怪演ぶりが見もの。
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