「64 ロクヨン(後編)」 ツッコミどころ
後編のチラシに、「原作と異なるラストで、2部作感動巨編ついに完結!」とあった。
ちょっと笑った。原作を読んでいないのでなにも言えないが、横山秀夫の原作に違和感があるので変えたということか。
そんな先入観をもって観た。
前編のラストは、十四年前に起きた少女誘拐殺人事件をなぞるような事件が発生する場面であった。同一犯か、模倣犯か。
県警はマスコミと掲載を見合わせる報道協定を結ぼうとするが、マスコミ側は被害者氏名を明かさない県警の態度を非難し、会見は紛糾する。ここでも怒鳴りあい。狂言の疑いもあるとのことで県警幹部は匿名を通そうとし、記者会見も捜査一課長ではなく、事件の経過など何も知らされていない捜査二課長が対応する。マスコミを怒らすだけである。
展開はテンポよい。緊迫感も伝わってくる。そして犯人からの電話。身代金受け渡しのルートは14年前と同じである。それはよいのだが、疑問が沸きあがってくる。
ネタバレになるので慎重な表現をしなければならない(すでに原作を読んでいる人ならわかってもらえる)が、14年前の被害者が当時の真犯人に辿りつくというストーリーになっている。それが不自然。電話の声だけで犯人を探し当てるなんてことはありえない。
その他いくつもの不自然なことがある。幸田メモとやらもたいしたものではない。警察のミスとはいえ致命的なものではないのに秘匿されてきた。さらにこれは前編で書いたことだが新聞社の動きも鈍重。口を開けているだけで、独自調査をしないのもどうかと思う。
逆におもしろいのは捜査二課長。柄本佑が演じている。頼りないところがいい。これに対して一課長役は三浦友和。重厚。一課長と二課長でのこの対比はなんだ。笑っちゃう。
ということで、突っ込みどころ満載の後編である。つまらないのではない脇の甘さを感じさせる。緊迫感はあふれているのにね。
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