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2016年9月12日 (月)

「トランボ」 赤狩りを生き抜いた脚本家

 アルテリオ映像館で「トランボ」を観てきた。副題に「ハリウッドに最も嫌われた男」とあるように、赤狩りにより映画界から追放された脚本家を描いた映画である。

 トランボについてはよく知らなかったが、この名作もあの大作もトランボの脚本と知って驚いた。「ローマの休日」「スパルタカス」「パピヨン」「栄光への脱出」「ジョニーは戦場へ行った」など。「黒い牡牛」もダントン・トランボだった。

 ということは「黒い牡牛」が私が初めて観たトランボものになる。

 冷戦時代を象徴する「赤狩り」(レッド・パージ)によりトランボは投獄されてしまう(赤狩りを描いた映画はたくさんある)。出所してもブラックリストに載せられており、ハリウッドで働くことはできない。家族を支えるため偽名をつかって安い脚本料で娯楽作品を書き続ける。書きまくると言うべきか。友人の名で書いた「ローマの休日」はアカデミー脚本賞を受賞した。架空の名前で書いた「黒い牡牛」もアカデミー賞を取った。

 実名を明かすきっかけとなったのはカーク・ダグラスだった。「スパルタカス」。そのあたりの経過が描かれている。それは映画を観てのお楽しみ。痛快なシーンになっている。

 レッド・パージは冷戦下での政治ヒステリーで、この映画もそのあたりをきちんと描いているが、家族ものでもある。妻を演じるのがダイアン・レイン。しばらく映画では見かけなかった。いい女だったねえ。美人セクシー女優というイメージが強いが、ここでは夫を支える貞淑な妻を演じている。五十を過ぎているからセクシーってわけにはいかないか。

「ローマの休日」や「スパルタカス」のシーンも映し出される。懐かしいと思う人も多いだろう。そのあたりも見もの。オールド・シネマ・ファンなら間違いなく楽しめる映画だ

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