三代目文蔵襲名
名古屋、京都、金沢と駆け足で回ってきた。旅のことを書くつもりだったが、さして書きたいこともないので、パス。
きょうは、国立演芸場に行ってきた。文蔵襲名の会。
橘家文左衛門が三代目橘家文蔵を襲名した。それほどの大名跡ではないから、襲名披露の会を何回か開いておしまいぐらいに思っていたが、披露目の興行が大々的に行われることになった。
五ヶ所の寄席で各十日間だから五十日連続の興行となる。それ以外でも披露目はあるから、襲名するのもタイヘンである。
文左衛門はそれほど有名な噺家ではないが、実力は高く評価されていた。初めて聴いたとき、上手い噺家だなあと感じ入ったのを憶えている。そのときは「文七元結」だった。丁寧に演じた。その後、たびたび聴いてきたが、前座噺の「道灌」のようなものをやっても上手い。「転宅」はどの噺家よりもいい。
悪相というか強面である。繁華街を歩けば、道を譲られる形相であるが、女を演じるとこれが実に色っぽいのだ。「転宅」でのお妾さんなどがその典型。文左衛門を評して「豪快にして繊細」という言い方がある。あの顔つきで細部まできちんと細やかに演じる。
今回の主な演者と演目
入船亭扇辰 千早振る
桂藤兵衛 好きと怖い
林家たい平 湯屋番
春風亭一朝 目黒のさんま
橘家文蔵 笠碁
おなじみの演目だが、藤兵衛の「好きと怖い」は「饅頭怖い」のバリエーション。後半は、狐に化かされた怖い話になる。
文蔵はマクラで、銭湯ネタ、例の「与作」。このマクラは何回も聴いている。面白いが、もっと違うマクラも聴きたい。
「笠碁」は以前に聴いたことがあるが、上手いもんだと感心する。碁仇の二人の掛け合いの描写も丁寧。碁仇を失ってガッカリする表情が、強面だけに妙に可笑しい。
来月は文蔵の「芝浜」を聴くことになっている。
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