文庫Xの正体
文庫Xの正体が明らかになった。
文庫本にカバーをかけて中身を見えないようにして陳列する。ジャンルはノンフィクション。書店員がゼッタイのおすすめとして覆面本として陳列した。「どうしても読んで欲しい」というキャッチフレーズ。これが受けた。話題になり、けっこう売れたという。
もし既読本だったらどうなのよ、ということで買わなかったけど、気にはなっていた。
それが清水潔著『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』だった。
ああ、この本は読んでいる。買わなくてよかった(買うつもりはなかったのに)。
清水潔の著作については、当ブログで採り上げたことがある。昨年の10月に『騙されてたまるかー調査報道の裏側』について書いている。調査取材の視点で、桶川素トーカー事件や群馬小児誘拐殺害事件を解説したものである。『殺人犯はそこにいる』の関連本である。
菅谷さんをご記憶であろう。菅谷さんを冤罪から救ったのはひとえに清水の尽力である。清水の綿密な取材がなければ、そのまま放置された事件である。
警察は菅谷さんを犯人と決めつけ、新証拠(たとえば新たなDNA型鑑定)があっても動かなかった。警察や検察の不作為ともいってよい壁を乗り越え、裁判で冤罪をはらすことになった。
官は無謬主義である。間違ってはいない、間違ったことをしてもそれを隠蔽するといった体質がある。それを乗り越えての活動であった。真犯人も特定しているが、警察は現在も動いてはいない。
ま、読め! 読め! 読んでないと、人生損するぜ。
それほど高ぶって言うこともないが、掘り起こしの名作であることは間違いない。
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