「落語外伝」 談笑の才覚
立川談笑独演会(成城ホール)に行ってきた。
また、落語かよと言われそうだが、すみません、今月6回目です。ま、通常月より多い。来月は、それほどは予定してませんから。
談笑は久しぶり。今回は「文七元結」のバリエーションというか、それまで・そのあと・スピンオフという企画である。
ロビーでは立川笑二がチケットを売っていた。「あれ、きょうは開口一番、やらないの?」と問うと、「はい、最初から師匠です」という返事。
その言のとおり、談笑が登場。マクラなしで「文七元結」に入った。
本寸法、オーソドックスに一時間ほどかけて演じた。本来の「文七」と違うところは、長兵衛に長男・長吉がいたとした点である。お久の兄になる。長兵衛は左官の仕事を厳しく仕込んだが、それに耐えられなくて大川に身を投げて死んでしまう。それで、長兵衛は自らを悔い、酒、ギャンブルのおぼれてしまったという設定にした。以上であるが、佐野槌の女将さんの描き方が光っていた。
中入り後、ここでもマクラはなく、「文七」の続きである。お久と文七は結婚し、こどももできている。ある日、長吉によく似た魚屋を見つける。近江屋卯兵衛は長吉ではないかと問うが、当人は否定する。試しに家の門を傷つけておくと、この男が器用に直してくれたので、ますます長吉ではないかと疑う。吉原の佐野槌につれていくと、折から大火が発生、佐野槌も延焼するおそれが出てきた。この若い男は漆喰をこねて延焼を防ごうとするが、屋根はよいとして壁はうまくいかない。そこに長兵衛も駆けつけて、といったストーリーとなる。
親子で師弟関係。このあたりは「抜け雀」や「浜野矩随」を連想させる。「親に泥を塗ってしまった」でオチとなるかと思ったら、その続きがあった。
長吉に、左官にもどらないかと問うと、魚屋を続けるとの返事。名前も長吉ではなくて、勝五郎と名を変えていた。これがオチ。
なるほどね。あの噺につながっていくわけね。このあたり、落語の基礎知識がないと理解できない。
広瀬和生さんとのアフタートークでは、娘を花魁にしてしまうかもしれないのに、見ず知らずの人に50両をくれてしまう理由、納得性の話になったが、そのあたりのことは省く。
今回、マクラがいっさいなかった。マクラなしは初めてとのことだった。江角マキコねたをしゃべりたかったんだけど、ぐっと我慢したとのことである。
江角マキコねた、聞きたかったね。
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