文庫のおまけ 解説
たいていの文庫本には解説がついている。あれはいつごろから載せるようになったのか。むかしはなかった。岩波文庫が★の数で価格を表示していたころはなかったような気がする。
最初に文庫本に解説を載せたのはどの文庫か知らないが、載っているのを意識したというか、解説付きでいいなと思ったのは旺文社文庫だった。 学生向きの雑誌や参考書を発行している出版社らしく、読書の参考になるような解説をしていた。これが的確な内容で、感心した。この解説付きゆえに何冊も買った。ちょっと値段は高かったと記憶している。しかも、なかには箱入りのものもあった。現在、箱入りというと辞書に多いが、あれと同じように箱に入っていた。
文庫本の解説で印象に残っているもので思い出すのは藤沢周平の『橋ものがたり』である。解説を書いているのは井上ひさし。解説と言うよりエッセイだろうが、読書好き、藤沢ファンの気持ちがよく現れていた。
池波正太郎の『にっぽん怪盗伝』も印象に残っている。解説は植草甚一。読み始めたらおもしろくて電車を降りてプラットホームで続きを読んだといった内容だった。この新装版が出た。本屋でパラパラとめくると植草甚一の解説はなくなっていた。代わりに山本一力となっていた。山本バージョンもわるくはないが、植草バージョンが消えたのは残念。ダブル解説にしても良かったのではないか。
以上は前置き。というほどのこともないが、『文庫解説ワンダーランド』(岩波新書・斎藤美奈子著)を読み始めた。文庫本の巻末にある解説を比較、評論したものである。ピント外れからなるほど解説まで、軽妙なタッチ、ツッコミ文体であれこれ評価している。
読んでおもしろかったのは『ロング・グッドバイ』 と『グレート・ギャツビー』を採りあげた章。いずれも村上春樹訳・解説である。この二つは相似形という村上の解説がおもしろそう。いずれも村上バージョンは読んでいない。
本屋に行ったら清水俊二訳の『長いお別れ』」と村上春樹訳の『ロング・グッドバイ』が並んでいた。へー、旧版も生きているんだと感心した。
とうことで、解説だけでも読んでみたくなる。立ち読みでいいか。
ついでのひとこと
もうひとつ挙げておきたい。ホレス・マッコイの『彼らは廃馬を撃つ』である。訳と解説は、常盤新平。大恐慌時代の文化を的確に解説していて秀逸である。
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