談笑「落語外伝」 その後の佐平次
談笑「落語外伝」に行ってきた。場所は成城ホール。最近はここで落語を聴くことが多い。
立川談笑は古典噺に独自の解釈を加え、改作を演じてきた。今回の「外伝」は、さらに解釈を拡大して、あらたな噺を披露するというものである。
前回の外伝は「文七元結」だった。左官の長平衛が娘を担保に借りた五十両を見ず知らずの男にくれてしまう噺である。これを長兵衛には息子がいたという設定に組み直して、あらたな親子像を作り上げた。ストーリーに深みがでていてなかなかよかった。
今回は「居残り佐平次」。前半が従来の談笑版「居残り佐平次」。後半が「居残り佐平次」外伝となる。チラシには「居残り佐平次 ~それまで・そのあと・スピンオフ」とある。
以前、談笑の「居残り」は聴いたことがある。あまりいい出来とは思わなかったが、今回は面白かった。以前より洗練されていたように感じた。佐平次が牛太郎や女郎に金を握らせ、籠絡というか手玉にとってしまうところがなんとも可笑しい。そして、ついには民主的に旦那を追い出し、店のトップになってしまうというストーリーにしている。
後半は、「その後の佐平次」という噺になっている。
それから二年後、時代は幕末という設定にしている。前半の「居残り」は明治か大正の頃の設定(お金の単位が円)だからそれを忘れてくれと冒頭で断っていた。
幕末なら、「幕末太陽傳」である。あのイメージで、勤王佐幕のいざこざを織り込んでいる。
佐平次が上方に行くというところで物語は終わる。これがちょっと中途半端だった。こちら(観客)は、えっ、そこで終わっちゃうのとなる。オチらしい部分があるが、観客は一人も笑わないし、拍手もない。
談笑、びっくりで、もういちどその部分を繰り返して、頭を下げる。そこでようやく拍手となった。
新作のネタおろしではこういうことはままある。
ということで、キズはあったが、談笑の情熱と才覚は充分に感じられた。
外伝、次回は「井戸の茶碗」だそうだ。
浪人・千代田卜斎の出自は? 娘が髙木佐久左衛門との結婚を嫌がったら?・・・というようなことから、「それまで、そのあと、そしてスピンオフ」の構想は膨らむはずである。
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