ヤマカガシは急がない
小学生がヤマカガシに咬まれ、一時、意識不明の重体となるという事件があった。
昔、知り合いのペットショップにヤマカガシが展示されていた。あざやかなまだら模様が印象に残っている。店主から、ヤマカガシは毒があるからねと言われ、へー、毒蛇なんだと知った。
ヤマカガシはたしかに毒蛇だけど、ただし前の牙(あるかどうかは知らないけれど)でちょっと咬まれたぐらいでは毒は回らない。毒腺のある牙は奥の方にある。カエルなどの獲物をしっかりくわえてから奥の毒牙で咬んで動けなくする。毒性はマムシより強いという。
ヤマカガシというと思い出す小説がある。藤沢周平の『蝉しぐれ』である。
そのプロローグ。主人公・文四郎は隣に住むふくがあっと声をあげるのを聞きつける。やまかがしが逃げていく。ふくはヤマカガシに手を咬まれたのだ。すかさずふくの指先に口をあて血を吸い出す。これが文四郎とふくの淡い恋いの始まりとなった。印象的なシーンである。
それにしても、ヤマカガシの毒牙は奥の方にあるのだろうか。前にあったほうが、効率よく捕獲できると思うのだが、そうはなっていない。
毒蛇は急がないということか。毒牙は奥の方に隠しておいたほうがよいということか。
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