「三度目の殺人」 是枝作品
夏休みが終わり、シネコンでも大人向けの映画が上映されるようになった。イオンシネマでは「ダンケルク」「三度目の殺人」「散歩する侵略者」が公開となった。アルテリオ映像館ではアンジェイ・ワイダの「残像」も始まった。
どれから観るか、ちょっと迷う。やはり是枝監督か。「三度目の殺人」にした。
重盛(福山雅治)はある殺人事件の弁護を引き受けることになった。被告は三隅(役所広司)。かつて殺人を犯し、刑期を終え、川崎の食品工場で働いていた。そこの社長を殺したのだ。重盛は死刑ではなく無期懲役にもっていこうとするが、三隅の供述は二転三転する。なぜ供述を変えるのか、重盛ら弁護士は悩む。
是枝監督は家族をテーマにした映画が多いが、ここでも三隅や重盛、殺された社長の家族が描かれる。そして、社長の娘(広瀬すず)が重大な事実を打ち明ける。はたして真実か。藪の中である。
ここから迷路に入っていく。なにが真実か、重盛は考える。裁判を有利にさせるにはどうしたらよいか。
裁判のシーンは少ない。その分ほとんどが接見室のシーンである。なんとか無期懲役にもっていこうとする真面目な福山雅治と、なぜか余裕を見せるというか恬淡とした役所広司のやりとりが迫力がある。
映画は予想外の方向に展開する。「藪の中」なのだが、裁判に対する大いなる皮肉を感じさせる。リドルストーリー。このあたり、映画を観終わった人と語り合いたくなる。
さすが是枝監督。ことしの日本映画のナンバーワンになるんじゃないかな。女優助演賞は広瀬すずで決まり。
ついでのひとこと
このところ小田急線でのトラブルが多い。人身事故が続く。かつての中央線のよう。きょうは、沿線での火事で電車が燃えた。いまだに新宿・経堂間が不通。
小田急電鉄の幹部はお祓いをしてもらったほうがいいね。
「三度目の殺人」は川崎が舞台。小田急線は見えないけれど、多摩川の河川敷が映し出される。
« 「落語外伝」 今回は「井戸の茶碗」 | トップページ | 「残像」 アンジェイ・ワイダの遺作 »
「映画」カテゴリの記事
- 「リアル・ペイン」(2025.02.03)
- 「オークション 盗まれたエゴン・シーレ」(2025.02.01)
- 「雪の花」(2025.01.30)
- 「室町無頼」(2025.01.24)
- 「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」(2025.01.14)
コメント