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2018年1月11日 (木)

 よばい

 一度は経験してみたいと思いながらその機会はなく、今後もたぶんどころかまったくないであろうものに、夜這いがある。

 夜、未亡人のところに忍んでいって性の手ほどきをうける、なんてことを連想するのだが、一度、辞書を引いていただきたい。現代の小型辞典ではなく古語辞典を。広辞苑でもいい。意味は、われわれのイメージとは違う。

 まず、「」の字を当てている。「婚ひ」、よばひ、である。

男が女に言い寄ること。求婚」とある。「万葉集」からの用例が載っている。ずいぶん古いことばなんだ。

 次に出てくるのが、「女の寝所へ忍び込むこと」。つまり夜這いである。

 通い婚がふつうだった時代がある。「竹取物語」や「源氏物語」の時代ね。

「葵さん、わたしだ。戸を開けておくれ」などと相手の名を呼ばって訪れる。 つまり、「呼ばふ」の連用形を名詞化した「よばひ」が元々の表現で、それがよばいとなった。「夜這い」は後年の当て字である。

当て字表現がなんとも適切なのに驚かされる。

 

夜這いの小咄がある。

 男が彼女のもとに忍び入った。暗がりの中で彼女は寝ていた。そっと布団の中に入り、太股を愛撫しようとした。ところが、驚くことに太股には毛が生えていた。げっ、男だ。どうやら寝所を間違えたらしい。そっと布団から抜け出した。騒動とはならなかった。

 のちにわかったのだが、寝ていたのは、彼女の父親だった。

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