「菊とギロチン」
テアトル新宿で「菊とギロチン」を観てきた。
風変わりな作品である。大正の終わり頃、関東大震災があった。朝鮮人が暴動を起こしたという噂が広がり、多くの人が殺された。大杉栄とその家族も警察により虐殺された。大正デモクラシーが終わり、軍部が力を持ち、軍事体制への道を歩んでいく時代である。
これに反発するように自由を求める過激なグループも誕生した。といってもこれといった政治理念があるわけではない、政治への単純な反発であり、酒、女と自堕落な生活を続けていた。そんな連中のひとり中浜鐵(東出昌大)らが巡業中の女相撲の一行に加わって、というストーリーである。女相撲の力士は夫の暴力から逃げてきたとか朝鮮からきた元遊女とかつらい人生を送ってきた連中である。
昔は女相撲があった。戦後まで巡業を続けた。女相撲の存在はうっすらと記憶に残っているが、実際に見たことはない。
設定は面白い。興味は引くけれど、脚本がずさんというかちょっと雑なんだよね。これが3時間の長尺。もうちょっとシンプルにすればよかったと思うが、ま、監督(瀬々敬久)も力が入ったんだろうな。構想三十年だそうだ。
若者の無軌道なエネルギーは大林宣彦「花筐」を連想させる。
写真は、テアトル新宿のロビーに飾ってあった登場人物の似顔絵。けっこう似ている。
女が土俵に上がると云々と云われる。この映画でも、女が土俵に上がると神様が怒って雨を降らせるという話になっている。だから雨乞いにはよいのだそうだ。なるほど。
さらにひとこと
大相撲の方は新大関・栃ノ心が快調に飛ばしている。豪快。ファンとしては気分が良い。「平成の雷電為右衛門」と言ったら言い過ぎか。
さらにさらにひとこと
ひいきのクロアチアが決勝まで勝ち進んだ。すごい!
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