高橋三千綱は楽天家
岩波のPR誌「図書」に連載していた「作家がガンになって試みたこと」は面白かった。闘病記だが暗くはない。医者に対する呪い、悪口が痛快である、深刻さがなく、どこか突き抜けたところがある。このエッセイはつい先だって単行本になった。
自らの病気についての書いた小説というかエッセイ集がある。『ありがとう肝硬変、よろしく糖尿病』。60歳から7年間ぐらいを書いたものだ。
大酒飲みであり、その結果、アルコール性肝炎となり、ついには肝硬変になった。糖尿病も悪化、腎臓病も併発。そして食道ガン、胃ガン。まあ、よく生きていられるものだ、けっこうしぶといねと、なかば感嘆しながら読んだ。
そののち、岩波書店から『楽天家は運を呼ぶ』を出版している。闘病記と平行するエッセイ集である。

悪口のいくつかを『ありがとう肝硬変、よろしく糖尿病』から引用しておく。
「小股の切れ上がった女将でもいるんじゃないかと期待して覗いた田舎の小料理屋。泥水に浸かったようなすれた女か無愛想が取り柄なだけの干涸びた女しかいなかった。
「・・・首を絞められた七面鳥みたいなすねた目つきを向けてきた。」
「ふやけたカリントウみたいな冴えない院長が・・・」
笑っちゃう。
楽天的であることはわるいことではないが、アトサキを考えないのは問題である。
たとえば、九千万円の借金をして一億二千万円の映画を自主製作した。これがコケて興行収入はゼロ。年八百万円の返済を義務づけられた。筆一本で返済した。
これも三千綱的生き方。
「楽天家として生きようと自らにいいきかせたことにした。すると楽天家が板についてきた。」
ということで、どれを読んでもおもしろい。今は、ひとごとだからね。
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