「判決、ふたつの希望」 レバノン映画
川崎アートセンターで「判決、ふたつの希望」を観てきた。
レバノン映画である。これまでレバノン映画は一本しか観ていない。美容室を描いた「キャラメル」。しゃれた映画だった。
この映画、ちょっとややこしいというか、レバノンの歴史(レバノンはイスラエルの北隣にある国で、大戦後、国内外で紛争が続いてきた。第一次中東戦争では多くのパレスチナ難民が押し寄せた)がわかっていないとついていけないところがある。
首都ベイルートで自動車修理工場を営むトニー(キリスト教徒)とそのアパートの雨樋を巡って、工事中の現場監督のヤーセル(イスラム教徒、パレスチナ人)がいさかいとなる。ヤーセルがトニーの腹を殴って傷つける。謝罪か示談で済ませるような事件だったが、これが法廷に持ち込まれ、国を揺るがす騒動となっていく。
民族紛争は長い歴史があって、どっちもどっちなんだが、ややこしくて対立は収まらない。
後半に、1976年に起きたダムール事件(ダムールの虐殺)が描かれるが、初めて聞く話で、ハア、そんな事件があったんだと、ただ驚くばかりである。
激しい法廷での論争となる。緊迫した場面が続くが、トニーとヤーセルはそれほど憎しみあっていないことが描かれる。このあたりがいい。トニーはヤーセルの車をだまって直してやったり、わざとヤーセルはトニーに殴られるようにしたりする。あいこネ。
そして結末。収まるところに収まる。ほっとする。
観る前に、レバノンの歴史をちょっと知っておくとわかりやすい。
ついでに言うと、現在、レバノンにはシリア難民が多数逃れている。これも政治的な火種になるかもしれない。
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