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2018年10月10日 (水)

一之輔独演会

 

 春風亭一之輔の独演会に行ってきた。

 一之輔はいまや実力、人気ともトップクラスの噺家である。独演会だと、小さな会場ではチケットは即完売になる。だから大ホールでの開催が多くなる。大ホールは落語向きではないけれど、ま、これは致し方ない。

 今回の場所は麻生市民館。わが家から数分、サンダル履きで行ける。1000人収容できる大ホールだけど、チケットは発売日に買ったから、中央の前から三番目の席になった。これならホールの大きさは関係ない。演者の表情はしっかり見える。一之輔の場合、表情豊かにしゃべるから、絶好の席である。

 落語は聴くだけの演芸ではない。

 マクラで運動会の話をした。親につくってもらった弁当を持参するが、弁当箱をあけるとご飯が片側に寄り、隙間ができる。今日の会場を眺めてそれを思い出す。ほぼ満席だが、後列に少し空席がある。それと似ていると笑わせる。アドリブだろう。うまいものだ。

 今回の演目は三席。

 加賀の千代

 天狗裁き

 藪入り

 いずれもおなじみの古典噺。一之輔の「加賀の千代」と「天狗裁き」は以前聴いたことがある。「天狗裁き」は先月末のNHKの「落語ザ・ムービー」でやっていた。なんだ聴いたばかりだぞと思ったが、演じている時間が違う。テレビだと15分ぐらいだが、今回はその倍ぐらいあったような気がする。深く丁寧に、だった。

 落語には夢をあつかったものが多い。「天狗裁き」もそのひとつ。どんな夢を見たのか(他人が見た夢を知りたくてしょうがないというストーリー)を巡って、お奉行や天狗まで登場するばかばかしい噺である。にぎやかに演じた。

 「藪入り」は文字どおり藪入りで久し振りに帰ってくる息子を迎える噺。親が子を思う気持ちを大仰に表現する。

マクラでネズミの賞金の話題をもちだすのが常套。むかし、どのくらいむかしなのかは知らないけど、捕らえたネズミのしっぽを保健所にもっていくと褒美がもらえた。懸賞がもらえるくじもあった。そのあたりの事情をマクラできちんと説明しておく。それがこの噺の後半につながる。

 最初親が子を思う大げさな言動で笑わせ、最後に事実がわかり、しんみりさせるというのがこの噺の神髄である。

 ということで、一之輔噺をじっくり聴かせてもらった。

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