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2018年12月26日 (水)

俵星玄蕃はボヘミアン・ラブソディだ。

 

 柳亭市馬玉川奈々福二人会に行ってきた。

 落語と浪曲の会である。紀伊國屋ホールのチケットは完売となっていた。市馬ファンは多い。奈々福も浪曲界で人気急上昇中のアイドルだから満席はうなずける。

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  まず、奈々福。浪曲の聴き方の説明をする。待ってました! たっぷり! 日本一! というかけ声が演者を勇気づけると言う。ま、強要することはないけれど、そうだろう。こういうマクラで笑わせるのも芸の内。

 演じたのは「銭形平二捕物帖」の一節。といっても新作。「女浪曲師殺人事件」というサブタイトルがついている。浪曲師を殺した犯人はだれが、それが明かされる手前で、ちょうど時間となりましたとなる。

 市馬は年の瀬だからあの演目。得意の「掛取り」である。

 年の瀬の掛取りからどう逃れるかという古典噺である。最後は三河万歳でのやりとりとなるが、それを三橋美智也バージョンに変えたことで俄然人気がでた。三橋美智也のヒット曲をメロディで歌う。ただそれだけなのだが、これがおもしろい。いまや三橋美智也でないとファンは不満になるので、どうしても三橋美智也を歌うことになる。

 歌は艶やかで上手い。トッププロ並み。落語も天下一品の上手さ。小三治の後は、市馬が人間国宝になるんじゃないかと思っている。

 中入り後は、奈々福の「曲垣平九郎と度々平」。お馴染みの講談の演目。曲垣平九郎はご存じの方は少なくなったと思うが、愛宕山の階段を馬で駆け上ったという馬術の名手である。その曲垣とその雇われの度々平の物語である。度々平はサンチョ・パンサのような存在。浪曲でも演じられるようになっており、奈々福の得意ネタになっている。落語でも談志が演じたCDがある。

 うなりというか声量がすごい。市馬と奈々福、いずれも美声の持ち主である。

 で、トリの市馬。落語をやると思ったら、高座はない。着流しで登場した。となると「俵星玄蕃」か。そうだった。

 三波春夫の名曲である。三波春夫は浪曲出身だ。討ち入りシーズンにふさわしい歌である。市馬はこれを朗々と歌う。久しぶりに生で聴いた。何度聴いても感動する。

 この歌、6分を超す。クイーンの「ボへミアン・ラプソディ」も6分を超す。映画では、もっと短くしろというレコード会社ともめるシーンがあったのを思い出した。この二つにとりたてて結びつきはないけれど、6分を超すという共通点がある。

 つまり、俵星玄蕃はボヘミアン・ラプソディなんだ。

槍は錆びても・・・ ママー・・・

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