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2018年12月16日 (日)

「銃」   銃に囚われる男

 

 アートセンターで「」を観てきた。空いていた。

監督は武正晴。安藤サクラがボクサーになる「百円の恋」が印象に残っている。

 原作は中村文則。気鋭の作家と言われるが、原作は読んでいない。

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  大学生の西川(村上虹郎)は雨の中、リボルバーの拳銃を拾う。家に持ち帰って丁寧に磨く。美しい。拳銃を所有していると少し気分がハイになる。拳銃に魅了されていく。そして、その銃をバックに入れて持ち歩くようになる。

 時代劇に妖刀が出てくるものがある。妖刀村雨とか妖刀濡れ燕とか。刀が人の心を狂わせていく。あれを思い出した。西川が拾った銃は妖銃である。

 映画は白黒である。ヌワール。西川には男友達がいる。合コンで知り合ったセックスフレンドもいる。恋人らしき女学生ともつきあい始める。しかし彼の心は満たされない。アパートの隣には子を虐待する母親がいる。彼の生い立ちと重なる。母親は彼を置き去りにした。

銃を持てば撃ちたくなる。そして、野良猫に銃を向けて撃つ。

 ここに刑事(リリー・フランキー)が登場する。饒舌である。刑事と言うより詐欺師のよう。西川を拳銃所持の疑いで、さぐりに来たのだ。この役回りがいい。不気味だ。

 緊迫感あふれる。そしてクライマックスに突き進んでいく。しかし、ラストはちょっと不可解。つじつまがあわない。最後の3分ぐらいは突然カラー映像になる。血が毒々しい。

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  解釈はいろいろできる。たとえばラストは西川の幻想だとか。

観ていない人には何のことかわからないだろうから、ぜひ観てほしいとしか言いようがない。原作がどうなっているのかも気になるところであるが、年末までつんどく本がたまっている。さしあたって読むつもりはない。

 けど、その部分だけ立ち読みしてみるか。

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