説経節 「小栗判官」
説経節を聴いたのは、成城の静かな住宅街にある猪股邸。
猪股邸は数寄屋造りの邸宅で、世田谷区に寄贈されたあと、(財)世田谷トラストまちづくりが維持・運営にあたっている。木造建築の文化財で、庭も広く美しい。
写真は猪股邸。今は紅葉。見学だけなら無料。

そこの一室で開かれた。暖房なしなので、座っていると底冷えがする。
説経節は三味線の弾き語りで、義太夫と似ている。そのあたりの違いはよくわからない。演者も減っているということで、絶滅危惧芸能である。めったに聴く機会はない。
演者は説経節政大夫さん。演目は「小栗判官」の中から「夢占いの段」と「矢取りの段」。
「小栗判官」はことしの正月、歌舞伎で観た。当ブログでも書いた(1/26)。およそのストーリーは知っている。
毒殺された小栗判官は仲間の援助と閻魔大王の情けで地上に戻るが、目も耳も不自由、足腰もたたない姿であった。御利益を求めて土車で熊野に向かう。願は叶元の姿に戻って、父母や妻の照手姫に再会するという物語である。並行して照手姫のサイドストーリーもある。
小栗判官」は説経節の代表演目であり、世に広く受け入れられてきたのは、「再生と再会」というテーマにある。あの世からのよみがえり、そして父母や妻との巡りあい。それが人々の心に響いた。
よみがえってから1年後に父母に再会するが、父はそれが小栗とは信じられない。本当の息子なら、かつて教えた矢取りの秘術を知っているはず。ならば父の矢を受けてみよと試す。
三本の矢を右手左手で取り、もう一本は口でくわえて取るという秘技。荒唐無稽fだが、試練を乗り越えるというエピソードはクライマックスにふさわしい。
ということで、寒さを忘れ、聴き入った。
浪曲(浪花節)は、演奏(三味線)と唸り(語り)は別々の人が演じる。それが説経節との違いだが、浪花節でも「小栗判官」はやれるんじゃないかな。
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