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2018年12月30日 (日)

『四苦八苦の哲学』

 

 哲学はおおきく二つに分けることができる。

 ひとつは人生哲学とか金儲けの哲学とか、生活信条、信念といったものを指す。もうひとつは存在とか時間とか生と死とかさまざまな事象の本質を追究する学問である。前者は処世術、ハウツーに関わり、後者はアカデミックである。

 この二つを混同するとややこしくなり、哲学はわけのわからない難しいものと思われてしまう。区別した方がよいが、境界はあいまいであり、厳格な区分は難しい。また、両者にまたがっているものもある。実存主義などはそうだろう。

 

A3749dcf0863af8fb6ce86cb40eac5ab1  人生の苦しみを四苦八苦という。四苦とは生老病死。人生には避けられないもの。それに耐えて生きていくのが人生だと言われる。

四苦八苦の哲学 生老病死を考える』(永江朗)を読んだ。四苦をそれぞれ章立て(死・病・老・生)して哲学っぽく論じたものである。上記で言うと後者の方ね。哲学っぽくというのは、難解で退屈ではないということである。

 四苦のうち、老・病・死は苦だとわかるが、生(ショウ)が苦だとは疑問がある。なぜ生が苦なのか。

 われわれはこの世に、自分の意思で、あるいは望んで生まれてきたわけではない。時代や環境にかかわらず偶然生まれた。人それぞれ境遇が違う。成長するにつれて、その境遇の違いを理解し始める。いま、ここにこうして生きていることの意味を問うと、思うようにならないことに気づく。そこから苦が始まる。そう考えてよいだろう。

 本書は易しく説いているけど、ハイデガーとかレヴェナスになると私には手に負えない。難しい。わかったと思ったとたんにそれは指の間からこぼれ落ちていってしまう。賢明なアナタなら理解できるかもしれないが(心ではオマエにも理解できんやろとおもっているが)、ま、大脳皮質に汗をかくのはいいことだろうから、クルクル考えを巡らすのはわるくない。

 

以前、おなじようなタイトルの『人生の四苦八苦』を読んだことがある。車谷長吉のエッセイである。こちらは身辺やおいたちを描いたエッセイである。車谷は寄せては返す波のごとく同じようなことを書き連ねているので著作を何冊も読んでいる人にはわかりやすい。その繰り返しが念仏を唱えているようでもあり読者には心地よい。

 おなじ四苦だが、こちらのほうは生き方を書いている。避けられなかったどうしようもない生苦である。

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