文蔵独演会
おとついに続いて落語。橘家文蔵独演会(生田寄席)に行ってきた。
文蔵のキャッチフレーズは、豪快にして繊細、である。「らくだ」を思わせる乱暴者のような風貌だが、落語は端正で丁寧。「転宅」に登場するお妾さんなどを演じても、並の女優さんより色っぽい。
猫の災難
文七元結
いずれも得意ネタ、というよりなにをやっても丁寧で、細部にまで心配りをしているのを感じる。もちろん笑いを誘うネタもたっぷり織り込んでいる。荒っぽいようだが、隙はない。
「文七元結」は文左衛門時代(数年前、三代目文蔵を襲名)に何回か聴いたことがある。左官の長兵衛を誰よりも荒っぽい人物に仕立てているが、その一方で、心の動きをしっかり描き込んでいる。工夫を感じる。
「猫の災難」も豪快にして丁寧だった。兄貴分が酒の肴(タイ)を買いに行っている間に、たまらず酒を飲んでしまうという噺である。飲みっぷりが見どころ。
文蔵らしく豪快にして細部まで繊細に演じた。いいひとときでした。
終演後、ちょっと雑談をした。ヨーロッパ公演について訊いてみた。
そのときの演目は「ちりとてちん」と「芝浜」。現地語で字幕をつけるやり方。むこうの人の反応がおもしろかったそうだ。
「ちりとてちん」の、腐った豆腐を食べる場面では、食べちゃダメー! という叫び声がかかった。感情移入している。日本ではこんなことはない。
「芝浜」では、三年間も夫をだまし続けたのはいけない、嘘はダメという意見があとで出て議論になった。ふーん、ところ変わればであるが、いずれも内容はきちんと伝わったということだ。それはよかった。
でも、長旅で、きつかった、もう行きたくないというのが旅の結論だそうだ。
« 一月中席&新年会 | トップページ | 「新ニッポンの話芸」 馬るこ餅 ゲット! »
「落語」カテゴリの記事
- 「八起寄席」(2024.11.20)
- 競馬好き芸人の会(2024.11.18)
- 生田寄席 今回は桂文治(2024.11.08)
- 遊雀・萬橘二人会(2024.10.21)
- 一之輔独演会(2024.10.17)
コメント