「ちいさな独裁者」 ただ一度だけ
山手線に新駅ができる。田町品川間、駅名は「高輪ゲートウェイ」となる。斬新なネーミングのようだが、なんだかなぁ。
田町に用があり、山手線の車窓から駅ができるあたりを眺めた。まだ基礎工事中。高輪大木戸のすぐそばのようだ。ならば駅名は「高輪大木戸」でいいじゃないか。大江戸っぽくてよい。
帰りに新宿に回った。武蔵野館で「ちいさな独裁者」を観た。ドイツ映画である。
1945年4月、敗戦間近(5月にドイツは降伏する)のドイツ軍では多くの兵士が脱走した。ヘロルトも脱走し、からくも追っ手をかわした。ぬかるみに乗り捨てられた車の中にトランクを見つける。軍服が入っていた。それを身につけたヘロルトは、逃亡兵らしい兵士に「大尉殿」と敬礼をされる。大尉になりすましたヘロルトは、脱走兵が盗みをしていないか被害状況を調べていると偽り、住民からの信頼を得る。そして成りすましはうまくいき、脱走兵を集めた収容所では強権的な力を発揮して脱走兵を大量銃殺にするなど、狂気じみた行動をとるようになる。
将校姿の威厳にまわりは服従していく。こっけいだが、非常時ではこういうこともありうる。恐怖ゆえの忠誠、そして忖度。実話をベースにしているのだそうだ。
で、どうなるか。逃走兵を集めた収容所は爆撃される。これで終わりかと思ったら続きがあった。生き残った者たちは町にゆく。それで・・・。
高齢の映画ファンならおなじみの曲が流れる。「ただ一度だけ」。冒頭ちかく、ヘロルトがリンゴでジャグリングをしながら口ずさむ。この曲はドイツ映画史上もっとも有名な曲といってよい。映画「会議は踊る」で歌われた。アインマール、アインマールと明るくリフレインする。日本でも流行った。*ユーチューブで聴くことができます。
ラスト間近でランチキパーティーがある。酔っぱらった連中がこの曲を歌う。ヘロルトも声を張り上げて歌う。高齢者はなつかしく聴くことになる。聞き逃してはならない。若者は関係ないかもしれないけど。でも、いい曲だ。
ところで、どうでもよいことだが、へロルト役のマックス・フーバッヒャーは、どことなくプーチンに似ている。
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