寿輔と大福 6月中席
神田松之丞の人気がすごい。講談界を引っ張っている。将棋界で言えば藤井七段である。
浪曲界はどうか。二人の若手が引っ張っている。玉川奈々福と玉川大福である。講談同様。若いファンが増えている。
大福の新作浪曲は、可笑しみというか、くすくす笑えるところがいい。
今回の国立演芸場の六月中席。トリは寿輔だったが、大福ファンもけっこういた。
林家喜之輔の紙切り。客席からのリクエストに「玉川大福」が出た。大福ファンからのものだろう。喜之輔はどんなシーンを切るのか。私なら、地べたに座った二人の作業員が弁当を食べるシーン、かな。
喜之輔が切ったのはまさにそれだった。大福の代表作「おかず交換」を描いたもの。中席の初日に演じたのは「おかず交換」だったそうだ。
で、今回の大福の演目はそれではなく「黒豆茶」。古典ではない。自らの体験、先月に起きた出来事を浪曲にした創作である。黒豆の茶を煎じている途中で出かけてしまい、火を止めていないことに気づき、義母や消防署を巻き込んでしまったという話。ばかばかしい出来事を朗々とうなる大福がばかばかしくも可笑しい。
他の演者。古今亭今いちは、新作と言うより、RCサクセション忌野清志郎へのオマージュ。高座で清志郎風のメイクをし、そしてロックを歌う。ただそれだけ。おもしろいけど、これが落語かよとも思う。
トリの古今亭寿輔師匠はいつものようにラメ入りの派手な衣装で登場。客いじりは少なめで、自虐ギャグ多め。演目は「文七元結」だった。
寿輔の「文七」は、前半をカットする構成。つまり佐野槌のお女将さんは登場せず、吾妻橋の場面から始める。これでも結構時間をかけて丁寧にやった。
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