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2019年12月24日 (火)

「象は静かに座っている」

 今月は3時間以上の長尺ものを観た。「アイリッシュマン」「読まれなかった小説」。そして川崎アートセンターで「象は静かに座っている」。234分。予告編を含めると4時間。途中休憩なしでシートに静かに座ることになる。

 途中でトイレに駆け込むおそれもあるので、後方通路脇の座席を確保した。前立腺肥大の老人はそんなことに気を遣う。

 中国映画。監督は胡波(フー・ボー)。これが第一作にして遺作となった。

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  近代化に遅れた地方の町(瀋陽に近い)、ブー(17歳)は友達をかばい同級生のシュアイを階段から突き落としてしまう。ほんとうに突き落としたかどうかは不明だが、シュアイの兄チェン(不良のリーダー)に追われることになる。ブーの友人のリンは親とはうまくいかず教師との関係をもっている。年金暮らしのジンは娘夫婦とうまくいっていない。

 それぞれが町にいたくない、町から逃げ出したい事情を抱えている。満州里の動物園にひなが座ったままの象がいるという。それを見たいとブーは旅立とうとする。ただし、そこに明るい未来があるわけではないが・・・。

ざっとこんな物語であるが、そう単純ではない。チェンもただの不良ではない。こちらも面倒な事情をかえている。

 画面は暗い。カラーなのに白黒のような画像シーンが多い。手持ちカメラでの撮影。画像が揺れる。挿入される音楽は少ない。しかしその音楽はよい。印象的に残る。

 ただし前半は退屈。あくびがでる。実際、近くに座った客は何度もあくびをしていた。もっと縮めればいいのにと思う。

 ストーリーが引き締まるのは、後半、残りの1時間あたりから。それぞれの事情が明らかになり、糸がゆるやかに結ばれ一本の紐となっていく。

 ラスト、エンディングを含めて5分か10分ぐらいが秀逸。監督はいちばんこのシーンを撮りたかったのではないか。

 エンドロールが終わり、場内が明るくなるまで席を立たなかった。ションベンは我慢した。

 ついでのひとこと

 28日、アートセンターでは「サタンタンゴ」が上映される。この日だけ。7時間をこす超長尺。途中休憩は二回あるけれど、さすがにこれはパス。目の調子もわるいし。

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