円丈独演会 「悲しみは埼玉に・・・」
生田寄席、今回は三遊亭円丈である。
円丈は落語界の新作王と呼ばれてきた。古典噺がとんどの時代、斬新な新作落語で一時代を築いた。ファンも多いが、円丈落語に魅せられて新作落語に力を入れる噺家もいた。
70を過ぎ(現在75歳)、新作ができなくなった。落語がおぼえられない、忘れる、思い出せないといった症状があらわれた。初期の認知症であろう。数年前、円丈の苦悩ぶりはテレビでも放映された。治療薬によりかなり回復したと弟子の白鳥が語っていた。
で、書見台に台本を置いての、いわば講談で言うところのぬき読みといった高座になる。日常生活は問題なさそうだが、高座の段を上がるときは危ない。介添えがいる。
わたしより三つ上、数年するとあんなふうに介添えが必要となるかもしれないとちょっと不安になる。男の平均健康年齢に近づいている。
今日の演目
ふう丈 鈴ヶ森
円丈 悲しみは埼玉に向けて
シンデレラ伝説
ふう丈は円丈の弟子。二つ目。初めて聴く。顔は、「赤かぶ検事」の中村梅雀に似ている。
円丈の「悲しみは埼玉に向けて」は名作と言われている。鉄板ネタである。北千住から東武線で北上して埼玉の自虐ネタで構成されている。台本をにらみながらであるが、自身の自虐も織り込みながら笑いを誘う。円丈らしい可笑しみがにじみ出る。
「シンデレラ伝説」は白鳥がつくったもの。それを習い、円丈風に仕上げている。親父が息子の金坊に、桃太郎がおとぎ話の基本としゃべる。あとは三匹の子豚だの赤頭巾ちゃんだのをでたらめに続け、シンデレラとなって、最後は、どんぶらこどんぶらこの桃太郎にもどるというストーリー。
出来はそれほどでもなかったが、ま、今の円丈に多くを期待してはいけない。健康で、あと5年、80までは高座にあがってもらいたいね。
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