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2020年1月18日 (土)

『狼の義』 犬養毅の生涯

 私の信頼するノンフィクション作家に堀川惠子さんがいる。確かな視点、きちんとした取材、的確な文章表現。そのノンフィクションは一級品である。堀川さんの新作。といっても出版されて一年近くなる。『狼の義 新 犬養木堂伝』が司馬遼太郎賞を受賞したとの新聞記事を目にして、そんな本が出ているのだと初めて知った。

 犬養毅(木堂)の伝記、ノンフィクション・ノベルである。林新との共著。もともと夫である林が取材し、まとめようとしていたが、執筆半ばで亡くなった。その遺志を引継ぎ、堀川さんが完成させた。

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 犬養毅については、5・15事件で凶弾に斃れた総理ぐらいの認識しかないのはちょっと恥ずかしいのだが、本書を読むと、いかに立憲政治に力を注いだかがわかる。

 普通選挙をめぐって維新以降の藩閥体制(主として薩長)と徹底的に闘った。その後、政界から引退するが、犬養の復帰を求める声に押され、政治の世界に戻る。総理大臣にまでのぼりつめるが、今度は軍部との闘いになる。大勢が軍拡、好戦的な風潮となるなか、徹底してそれに抗した。そして、話せばわかる、問答無用! の修羅場となる。(実際のやりとりは少し違うのだが・・・)

 序章と終章は、犬養の懐刀であり、盟友でもあった古島一雄のエピソードを載せている。古島は帆走者であり、時として黒子として走り回った。その心意気は、犬養同様潔い。戦後は、吉田茂の指南役としてその存在感を示した。

 ついでのひとこと

 日経新聞には、今、伊集院靜の「ミチクサ先生」が連載されている。現在は、夏目漱石と正岡子規の学生時代が描かれている。『狼の義』に正岡子規が登場する。新聞「日本」で命を削りながら編集・執筆する姿を描いている。

 

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