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2020年7月14日 (火)

十七屋から引きはじめ

 新型コロナウイルス除けの願いを込めてアマビエのイラストが話題を呼んだ。護符である。ブームはいっときで、たちまちのうちに消え去ったようにもみえるが、さて。

 適切な医療法がない時代には、神仏に祈り、護符を貼ることも大切なことであった。で、江戸時代はどうだったか、立川昭二さんの病気の本をあたってみることにした。本棚の奥まで探したが、みつからなかった。何冊か読んでいる。捨ててしまったのかと思っていたら別の棚で見つけた。『江戸病草紙』。「近世の病気と医療」というサブタイトルがついている。ぱらぱらとめくってみたが、アマビエは登場しない。

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 もっともおそれられたはやり病は疱瘡である。子供の10人のうち2、3人は死に、また2、3人は醜い顔になると言われた。治ってもあばたになる。とりわけ娘は嫁にいけなくなると大切にされた。隔離されたのだろう。

 疱瘡除けのために疱瘡神がまつられた。疱瘡除けの赤い護符を門前に貼った。注連縄の半分を赤く塗ることもあった。

 先のアマビエであるが、伝説では、海からやってきて「今から6年は諸国豊作だが、病が流行したら、私の姿を写して人々に見せなさい」と言って海に消え去ったということになっている。

 アマビエは妖怪であるが、私は実際にいた人間ではないかと考えている。鬼だの妖怪のたぐいは、山奥や離島に実際にいた人物をデフォルメしたものものではないか。彼らはわれわれの祖先とは違った種族、民族だから異形に映った。といったことは話が横にそれていくのでやめておく。

 本書の冒頭に、川柳が載っている。

 はやり風、十七屋から引きはじめ

 十七屋は日本橋に実際にあった飛脚問屋である。この意味、おわかりだろうか。

 十七屋は、十七夜のこと。十七夜は、立つ待ち月ともいう。たちまちつきから、たちまち着く。飛脚の足の速さと行動範囲の広さを言ったものである。

 新宿の夜の街で遊んで、たちまちウイルスをまき散らす・・・。

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