「オフィシャル・シークレット」
イラクが大量破壊兵器を開発・所有しているとの理由で、米英を中心とした有志連合軍はイラクに攻め込んだ。2003年のことだ。フセイン大統領を倒したが、大量破壊兵器は見つからなかった。開発しているというのはガサネタだった。
誰がニセ情報を流したか、なぜそうする必要があったのか、幾多の疑問が残るが、アメリカは大量破壊兵器の存在を強引に主張した。
ここからが映画の話。「オフィシャル・シークレット」をアートセンターで観てきた。
イギリスの諜報機関に勤務するキャサリン・ガンは、アメリカの諜報機関からイラクを攻撃するための工作活動を促すメールを受け取る。おかしいと感じたキャサリンはメールを新聞社に漏らす。記事にはなったが、イギリス政府はこれを偽物と主張し、結局、イギリスはアメリカと同調してイラクに攻撃を仕掛けることになる。彼女は公務秘密法違反で逮捕されてしまう。ピンチに陥るが、彼女は孤立無援ではなかった。夫や弁護士らが彼女を支えることになる。
この話、事実ということだ。イラク戦争の小さなサイドストーリーに終わってしまった。イギリスではその後大きな政治問題になったらしいが、日本ではそれほど報道されなかった。わたしは知らなかった。この映画で初めて知った。
イラクが大量破壊兵器を持っているとの報道はまことしやかに喧伝された。何でもないアルミ管が核兵器開発の設備備品だとの主張があったりしたのを記憶している。
イラク侵攻によりフセイン政権は消滅したが、イラクの混乱は収まらなかった。イスラム国を生み、シリアを含め大量の難民を生み出した。結局、ブッシュもブレアも責任をとってないんだよね。
この映画のおもしろさはディーテイルにある。米語と英語の違い。彼女の夫のこと。クルド系イスラム人である。細かく書くのはちょっと面倒なので、映画を観てほしい。ぜひ!
ついでのひとこと
日本学術会議メンバーの任命を巡ってごたごたしている。6名を任命しなかったことを知ったとき、アリャリャリャ、こりゃ、もめるよと感じた。案の定、そうなった。政府は口を出さなきゃいいのに。
この6人のうち、著作を読んだことがあるのは加藤陽子さんと宇野重規さん。いずれもまともなことを書いている。きちんとした優れた学者である。安保法制とか秘密保護法に反対しているとのことで任命からはずしたらしいが、だとしたら政府はなんとケツの穴の小さいことか。政府の意向に沿わない意見はいっぱいある。さまざまな見解があって世の中は成り立っている。排除は嫌がらせである。口を出すことはない。
客観的、実証的な学説に対し、自分の都合や恣意的な判断で反論(知的に装っている)するのを「反知性主義」という。現政権周辺にそれを感じる。
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