臥龍梅
マンションのフロント近くのソファーに座っていたら、つたい歩きで赤ちゃんが近づいてきた。1歳ぐらいか。父親に歳を問うと、来月1歳になるという。
おばちゃんが近づいてきて「まあ、かわいい。なんという名前?」と父親に訊く。「がりゅうと言います」との返事。
おばちゃんは、がりゅう? 不審そうな顔をする。意味不明という顔つきである。
たしかに珍しい名前だ。そのやりとりに割り込んで「臥龍梅の臥龍ですか」と訊いてみた。
そうだとの返事。梅の枝が地を這うように延びている姿をいう。日本酒に臥龍梅という銘柄があるそうだ。それは知らなかった。(後日、近所の酒屋に行くと、冷蔵ケースに臥龍梅があった。どんな味か、試しに買ってみた)
わたしが知っているのは、亀戸天神近くにあった梅の名所の臥龍梅。
亀戸近くにお住まいだったんですかと訊かれたので、「いえ、全然。落語で知りました」。
落語では、ガリョウバイと発音する。酒の方はガリュウバイである。
怪談「牡丹灯籠」で、前半の主人公、お露と信三郎が出会うのは、亀戸天神の梅見の帰りである。有名な場面だから落語ファンなら知っている。
臥龍という名は珍しいというか、初めて出会った。いい名前である。歌舞伎役者か落語家のような名前である。
龍亭左龍という落語家がいる。三遊亭可龍もいる。臥龍と似ている。
さて、臥龍くん。祖父が命名したという。2月生まれだから梅と関連のある名前を思いついたのだろう。さらに、酒好きなんだろうな。
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