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2021年2月 6日 (土)

『風致の島』

 赤松利市の新作。前作の『白蟻女』はそれほどおもしろくなかった。白蟻が木材を食い散らかすような女を想像したのだが、白蟻駆除剤を飲んで自殺する女の話だった。赤松に似つかわしくない小説だった。

 こんどの『風致の島』はどうか。スケールの大きい話だ。

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 東南アジア、マレーシアかインドネシアあたりか、巨大リゾート開発を目指す日本のスーパーゼネコンから現地に派遣されていた青木が主人公。計画は政変であっけなく頓挫してしまう。出世の目が立たれた青木は左遷先の末端で下請けからの裏金をごまかし退職する。そしてふたたび島に舞い戻る。そこで余生を送るつもりだった。

 現地に残っていた元同僚から、カジノ付きの新たなリゾート開発計画の存在を知る。青木の能力を知る印僑らの誘いもあって、その利権に食い込むため動き出す。青木の周りに登場するのは、不可解か、どうしようもない連中ばかり。裏切りは当たり前。巫女的な女も登場する。これぞ赤松ダークワールドである。

 ラストはあっけない。というとネタバレになってしまうので書かない。ある種のさわやかさがただよう。そのさわやかさが、暗闇の不気味さからの解放になる、かどうかはわからない。

 地獄は一定すみかぞかし

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