「アウシュヴィッツ・レポート」
2年半ほど前、アウシュヴィッツを訪れたことがある。
正しく言うと、アウシュヴィッツとビルケナウの二つの収容所跡である。ナチスによってつくられた強制収容所は確か百ぐらいあって、ナチス敗戦直前にほとんどの収容所は破壊された。証拠隠滅のためである。わずかに残ったのがアウシュヴィッツ、ビルケナウである。二つは車で20分ほどの距離だったと記憶している。
アートセンターで「アウシュヴィッツ・レポート」を観てきた。二人のユダヤ系スロバキア人の脱出記録である。
戦時中、強制収容所で大量殺人が行われていることは極秘にされた。この事実を伝えるべく二人は収容所から逃れた。そんな事実を知らない人々は、収容所にいる親戚・知人に石鹸や医療品を送り続けていた。それは当人に届くことはなく、元気でいるものと思っていた。
二人のレポートが公表されるまでに7ヶ月かかったという。その間、大量殺人は続いていたが、チェコ・スロバキアはユダヤ人たちを収容所に送り込むのを停止・延期させた。それが、映画のキャッチコピーになっている「十二万人の命を救った実話」ということである。
二人は収容所を空爆することを主張する。救うのではない。収容された人たちは死を覚悟している。大量殺人施設を破壊することがこれからの大量死を防ぐことになるというのだ。
究極の選択である。映画はドキュメンタリータッチで収容所の様子を映し出す。逃走を描くカメラもふつうのアングルではない。重苦しい。
いま、よく見る収容所の写真に鉄道の線路が敷設されているものがある。あれはアウシュヴィッツではない。正しくはビルケナウである。
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