一之輔独演会 小三治のことなど
小三治は迎合を嫌う人だった。忖度をしない。
ひとつ思い出した。かつて「ためしてガッテン」に出演したおり、納得いかないと言って、ガッテン、ガッテンをしなかった。可笑しかった。小三治らしい矜持。たぶんそんな出演者はほかにいないだろう。以後「ガッテン」に出ることはなかった。
昨夜は「一之輔独演会」に行ってきた。麻生市民館大ホール。後方の座席がずいぶん空いていた。コロナのせいか、麻生での一之輔人気は少し下火になったせいか。
演目
林家彦三 お血脈
春風亭一之輔 代脈
春風亭一之輔 子別れ(通し)
中入り前に、小三治の思い出を語った。一之輔が真打昇進したときのエピソードである。真打昇進はツイッターで知った。しかし師匠からの連絡はない。落語協会からもない。後で師匠に会うと、そんな話は知らないと言う。師匠のケータイが電池切れになっていた。留守電を聞くと、小三治(当時、落語協会会長)から何度も電話が入っているのがわかった。で、あわてて電話した。この話は直後の「こしら・一之輔二人会」で聞いたことがある。
小三治は一之輔を「ひねたところがない」と評した。お世辞だろうと一之輔は言う。わたしもそう思う。小三治も一之輔もひねている。それぐらいじゃないといい噺家にはなれない。
「子別れ」を通しで聴くことはめったにない。独演会ならではの演目である。上中下に分かれていて、高座ではもっぱら下のみ、「子は鎹」という演目になる。
じっくり演じた。数年前の一之輔なら派手にやっただろうが、すこし角が取れてきたというか、しっとりやった。子の亀のつっこみがおもしろい。亀はひねたところがある。一之輔ならではである。
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