桜とゲイシャ・ワルツ
市民館の庭に桜が咲いている。玉縄桜である。七分咲きといったところか。早咲きだが、隣で咲く河津桜は満開を過ぎ、葉桜となりつつある。ソメイヨシノとちがって長く咲く。ひと月ぐらいは楽しめる。
雑誌「図書」に片岡義男の連載コラムがある。3月号では「ゲイシャ・ワルツ」について書いている。
片岡義男に似合うのは洋楽。ポップスであって、ゲイシャ・ワルツなどとはとても結びつかない。妙な取り合わせである。
神楽坂はん子の「ゲイシャ・ワルツ」が流行ったのは1952年。相前後して、現役の芸者が歌謡曲を歌った。市丸、赤坂小梅などの名をおぼえている。片岡義男は私より8歳上。ゲイシャ・ワルツの頃は12歳だから、記憶にしっかり刻まれているはずだ。
私はアカペラで歌える。あなたは歌える?
あなたのリードで島田もゆれる チークダンスのなやましさ・・
明るく調子のよい歌だ。作詞は西条八十である。
芸者歌手が続けて登場し、その歌がヒットしたのは、別れを歌ったからだと片岡は言う。芸者は別れ上手である。
戦後、占領軍の統治が続き、51年に講和条約が締結された。翌年、GHQは解散した。占領統治との別れ、といったものが深層に流れている。片岡ははっきりとは書いてないが、占領との別れ、あらたな時代への解放といった気分をあらわしていると言いたげである。
そこまで深読みをするつもりはないけれど、明るい気分で歌ったことは事実である。
で、桜。桜(ソメイヨシノ)はかつては4月上旬に満開となった。入学式にふさわしい。現在は、温暖化の影響か、3月下旬に満開となる。卒業式シーズンだ。
桜も別れと似合うようになった。
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