「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」
チャン・イーモウは、最近はスケールの大きい映画ばかりつくっているが、「ワン・セカンド」は昔に戻ったような作品である。ついでながら言っておくと、チャン・イーモウは中国を代表する映画監督である。
砂漠の村(中国のうんと奥地)にひとりの男がやってくる。時代設定はよくわからない。劇中に出てくる映画が1964年制作とあるからそれより後、文化大革命が始まったころか。
別れた娘がニュース映画に一瞬、一秒ほど出ているとの友人からの手紙を受け取り、いてもたってもいられず収容所を逃げ出して、フィルムを追っていたのだ。村ではときどき映画がかかる。そのニュース映画も同時上映される予定だった。
ところが、そのフィルム(一巻)が交通事故で土埃まみれになってしまう。上映員(映画館主)はみなの協力を得てフィルムを洗って巻き戻す。その前に、その一巻を盗もうとしていた娘(リウ)がいたが、それを取り戻すというエピソードがある。このあたりがおもしろい。
映画館で上映されるシーンが印象的である。子供も大人も映画館に駆けつける。すごいエネルギーを感じる。今村昌平の初期の映画、たとえば「にあんちゃん」を彷彿させる。このエネルギーが文化大革命にも向かうし、天安門事件にも向かった。今、民衆のエネルギーは抑えつけられている。それだけ成熟したのか、習近平の管理統制政策が徹底したのかわからないけれど、あのころの民衆エネルギーはすごかった。
思い出すのは、校庭や体育館での上映である。ニュース映画も流され、そこに出稼ぎ(集団就職かもしれない)に行った兄が映し出されるという映画があった。題名は記憶にない。「ワン・セカンド」と似かよっている。
デジタル・ディスクとちがって、フィルム映画の面白さというか、フィルムでないと味わえない世界がある。
リウ役の少女がかわいらしい。デビューしたころの薬師丸ひろこに似ている。
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