『会計と経営の七〇〇年史』
簿記とか経理とは関係ない部署にいた。それが子会社や関係会社を管理する部門に配属になった。入社して20年以上たってからである。
ここでは経理、会計、財務の知識が必要になる。経費伝票ひとつ書いたことのない身としては一から勉強するしかない。ひとに訊いたり、まじめに本を読んだりした。短期間でそこそこの知識は身につけたが、しょせん付け焼き刃。ヌケもあった。自分で言うのもなんだが、税務申告書も読めるようになったし、会計のおもしろさもわかってきた。
田中靖浩の『会計と経営の七〇〇年史』を読んだ。グローバルな内容である。会計の世界史。以前、同じ著者の『会計の世界史』を読んだことがある。それと重なる内容だが、こちらは新書版。気軽に読める。
イタリアから説き起こす。なぜ15世紀にイタリアは繁栄したのか。メディチ家がその基礎を作った。なぜメディチ家は巨大となったか。簿記(複式簿記)を経営の基本におき、ひろくヨーロッパに網を張り、事業を拡大させた。ルネッサンスのバックにはメディチ家があると歴史書に書かれているが、メディチ家発展の基本に簿記があることを多くの人は知らない。
イタリアは簿記と銀行を生んだが、大航海時代になるとオランダが台頭する。オランダは株式会社と証券取引所を生んだ。以下、会計と経営の視点で見ると、フランスからディスクロージャーの考えが広まった。イギリスは減価償却を導入した。そしてアメリカは、ひとことでいうと管理会計である。管理会計といっても広い。予算管理とか部門別損益、あるいは原価管理(固定費と変動費に分ける)などである。
本書は大雑把であるけれど、会計のおもしろさを伝えている。簿記を初めて習う人は簿記ってつまらないと思う。最初から簿記の技法を教えるからである。一枚の伝票が貸借対照表や損益計算書につながり、それが経営を左右していることがわかれば、簿記もおもしろくなる。
本書では書かれていないが、その先にはあらたな会計手法がある。機会損失、サンク・コスト、ディスカウント・キャッシュ・フローなどである。
それは未来会計というか仮想会計(バーチャル・アカウティング)である。あれこれ思索するのは楽しい。逆にこれらのことばを頻繁に使う人には怪しい連中もいるから要注意。煙に巻くわけね。そういう場面に出くわせたらじっくり考えること(真贋を見分けること)が大切だ。
とはいえ、会計はおもしろい。
« COCA | トップページ | 「PLAN 75」 »
「読書」カテゴリの記事
- 『資本主義の敵』(2026.02.14)
- 『普天を我が手に 第三部』(2026.02.10)
- 『普天を我が手に 第二部』(2026.01.27)
- 『90歳、男のひとり暮らし』(2025.11.12)
- 『普天を我が手に』(2025.09.30)
コメント
« COCA | トップページ | 「PLAN 75」 »



おひさしぶりです。
会計が面白い。そう言える人を尊敬します。私はダメで、妻に任せっぱなし。いつも申告の頃は妻が青色申告会に行っていろいろ聞いている。青色ソフトがやるから計算過程はないのだが、それでもややこしい。
むかし久地に「たまりばーる」という有機野菜のレストランがあり、そこでバロックのコンサートが開かれた。バージナルというチェンバロのような楽器と笛のデュオだった。そのバージなる楽器にメディチなるような文字が掘ってあった。聞くと、メディチ家のものだったらしい。メディチとメディスンは似ているので、ちょっと検索してみたら、メディチ家は最初薬屋さんだったらしい。ハーブやアロマなどを売っていたようだ。それが大富豪になるのだから分からない。
それにしてもbookkeepingを簿記と訳したのは誰だろう。うまい。音もそっくりだ。
投稿: リプル | 2022年7月31日 (日) 12時29分