「1640日の家族」
アートセンターでフランス映画「1640日の家族」を観てきた。
1640日とは4年半にあたる。4年半、里子をほんとうの家族のメンバーとして育ててきたストーリーである。監督の体験に基づくとチラシにあった。
1歳半のシモンを里子として受け入れたドリスとアンナ夫婦は二人のきょうだいとともに5人で本当の家族のように暮らしてきた。シモン自身も里子であることは理解していたが、そのこだわりはなかった。6歳になったとき、実父(一人暮らし、妻は亡くなっている。低所得)からシモンを自分の手元で育てたいという申し出があった。フランスでは、里子の親権は実父にあるということで、その申し出をむげに拒否することはできない。その結果、週末は、シモンは父親のもとで暮らすことになる。シモンはいやがるが、なんとか説得する。アンナも混乱する。シモンとずっと一緒に暮らしたいと思っている。夫も子供たちも同様だ。
ここから事態は思わぬ方向へと展開していく。
もっとも混乱するのはシモンである。実の両親でないことはわかっている。でも、離れたくない。実の父とも一緒にいたい。心は揺れる。このシモンの演技が抜群である。可愛らしく、うまい。
フランスの里親制度はきちんとできている。しかしそれで十分かと言われればことばは弱くなる。さまざまな問題を乗り越えるのは難しい。
全員がハッピーとなるようにはならないけど、映画はなるほどと納得というか安心するような結末になっている。
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