一之輔独演会
「笑点」円楽の後釜が誰になるか、取り沙汰されている。
春風亭一之輔が第一候補にあがっているという。さて、どうなるか、一之輔は受けない方がよいと思う。たしかに若手噺家の第一人者で、噺は上手いし人気もある。だからといって「笑点」はない。レギュラーになると笑点芸人になってしまうおそれがあるからだ。
笑点芸人はマクラで笑点の裏話でやればそれで客席は喜ぶ。これでいいのだとマクラの稽古を怠る。易きに流れてしまう。そこが難しいところだ。昇太は笑点に出るのはお金になるからだと公言している。それでよいのだが、それほど稼ぐこともない。
一之輔独演会に行ってきた。近所の麻生市民館。後方に空席がある。1000人も入る大ホールだから、人気の一之輔とはいえ満席になることはない。
今回は三席。「時そば」「粗忽長屋」「笠碁」。いずれもおなじみの噺である。
このおなじみが、一之輔の手になると弾けて掟破りの爆笑噺になる。終わったあと、「ふつうのまともな時そばは別のところで聴いてください」とコメントがあった。笑える。
「粗忽長屋」は後回しにして、「笠語」はオチを変えていた。古典だと笠から雨だれが落ちるところでオチとなるが、これがあまりおもしろくない。そこを、昔の待ったのエピソードを持ち出して、待ったにした。これはうまい。
「粗忽長屋」には、かかあ出て行け! というセリフがある。夫婦喧嘩などするんじゃないと言うと、夫婦喧嘩なんかしてない、おれは独身だと続く。
あれはは赤犬をおっぱらっていたんだ。アカ、出て行け! と言ったんだ。
途中で解説を入れる。先輩の柳家はん治が、赤旗祭り(日本共産党主催)の高座でこのくだりをやってしまった。無意識で。
アカ、出て行け!
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