収容所からの葉書
都心に出たついでに、新宿の平和祈念館(平和祈念展示資料館)に行ってきた。ここはあまり知られていない。新宿住友ビル(三角ビル)の33階にある。先の大戦の記録を展示する資料館が新宿の高層ビル群の中にあるのはちょっと不思議である。なぜここにと違和を抱くが、それだけに存在感がある。とはいえ、それほど知られていないことは事実で、いつ行っても見学者は少ない。
現在「収容所と日本を結んだ葉書」という企画展が開かれている。これが見たかった。ここの資料館は、シベリアなどの抑留や外地からの引揚げを中心にした資料を展示している。まもなく二宮和也主演の「ラーゲリより愛を込めて」が封切りになる。それとのコラボであることは容易に想像がつく。
映画は、辺見じゅんの『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』を原作としている。ずいぶん前に読んだ。30年ぐらい前か。感動的なノンフィクションだった。多少ネタバレの領域になるかもしれないが、遺書は自筆のものではない。頭の中に刻まれたものだった。そこが感動的なのだ。
展示された葉書は実物で、収容所から家族のものに届けられたものである。ソ連側の検閲があるから、肝心なこと、書きたいことは記されていない。ポロリこぼれるホンネはあるものの、ほとんどはあたりさわりのないことばかりである。さらに劣化により薄れているから、判読できないものもある。見学といってもざっとコメントを読む程度にとどまった。
ここでは、抑留された人のインタビュービデオも見ることができる。これが良い。一度、訪れるのをお勧めする。
それ以上にお勧めなのは九段下にあるしょうけい館である。こちらは、傷痍軍人(戦傷病者)の記録が中心である。
いずれも入場料は無料。気軽に行ける。
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