ネガディブ・デフェンス 深く考える
国防費(軍事費)をめぐっての議論が起きている。GDPの2パーセントまで引き上げよという見解である。背景には中国と台湾の緊張がある。北朝鮮のミサイル発射がある。ウクライナ問題もある。
軍事費とか国防費といったものの範囲がわからない。自衛隊の費用はわかるとして、そのほかにもある。広義の国防費。たとえば国防に関わる外交費用。外務省の予算と重なるものもあろうが、隣国との友好関係の樹立、情報入手や提供(表も裏も)なども含まれる。さらに、防災、被災にかかわる援助・復旧費もある。ミサイルや戦闘機だけではない。2パーセントが一人歩きし、予算取り、狭義の軍備のみ議論されている。
中台は緊張関係にある。中国が台湾に武力行使すれば、日本もとばっちりをうけることになり、最悪、中国と戦うかもしれない。だから軍事力の強化をというのだろうが、ちょっと短絡的な発想という気がする。
そこをじっくり考えてみたい。ネガティブ・ケイパビリティの延長で、ネガティブ・ディフェンスということばを思いついた。国防のありようを短絡的に判断するのではなく、緊張感に耐えながら深く広範囲に考えてみるということである。
想像力をたくましくすれば、日中が戦うことはまずない。火の粉程度は降りかかるとしても、本格的な戦いは考えられない。中国は戦線を拡大することはない。日本と戦うのを避けるよう振る舞う。それほどバカじゃない。
ウクライナ情勢を見ればどうなるか、およそわかる。隣国のポーランドを見ればよい。いま、ポーランドには300万人を越す避難民が押し寄せている。避難民を丁寧に受け入れている。
もし中台にことがあれば、まず台湾から脱出する人が続出する。となりの日本には多くの、百万を超す避難民が押し寄せる。人道的にそれを受け入れるのは当然のことだが、それへの備えはない。大震災への備えとして防災予算は組まれているので、まずはそれを転用することになるだろうが、それではとても済まない。長期にわたって避難する人をケアし、一部は移民として受け入れることになるだろう。膨大な費用が見込まれる。それも国防費のうちだろう。ネガティブ・ディフェンス(消極的国防)である。
ミサイルより、こっちが必要だろう。国民も避難民も守る。とうぜんのことだけど、これがわかっていない連中がいる。
台湾有事と言えば、まずは金門島であろう。かつて蒋介石はこの島を必死で守ったのを記憶している。 アナタは知らないだろうな。
ついでのひとこと
ネガティブ・ディフェンスにせよネガティブ・ケイパビリティにせよ、それを涵養する第一歩は、たとえばSNSのメッセージに即反応しないことだ。いいねを押さない。反応する前に考えてみる。ツイッターをやめてしまうことも手だ。
さらにひとこと
中国共産党は台湾独立に反対であることをあらためて表明した。台湾は過去も現在も独立宣言をしたことがない。冷静に考えれば、独立を宣言しないかぎりは台湾に侵攻することはないとも言える。
もひとつひとこと
つわぶきが咲き始めた。もう冬だ。
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