人生は運不運
人生には運不運がつきまとう。たまたまそこにいただけで人生が狂わされることがある。たまたまそこにいなかったことで平穏な人生を過ごすこともある。運不運はきまぐれに人を襲って、分け隔てはない。
ことし6月、俳優の佐野浅夫さんが亡くなった。96歳。長寿だった。その略歴を知り、幾多の運不運を思った。
佐野は、昭和18年、劇団「苦楽座」に入った。20年に「苦楽座」は移動劇団「櫻隊」に名前を変え、佐野は軍隊にとられた。訓練を終えたが戦地には行かず、鎌倉で松根を掘っていた、ちょっと説明すると、松の根っこから油分をとって航空機などの燃料にしようという方策であった。いかに石油が不足していたかがわかる。
「櫻隊」はたまたま訪れていた広島で原爆に遭う。丸山定夫、園井恵子ら多くの劇団員が亡くなった。佐野は軍隊に取られたおかげで生き延びることになった。松根が佐野を救った。これも運命である。そして戦後は俳優人生を続けることになる。
佐野が「櫻隊」にいたとは知らなかった。園井恵子。今となっては、知らない人が多いだろうが、美人の名女優であった。
いま、その姿を映像で観ることができるのは映画「無法松の一生」ぐらいか。主演は板東妻三郎。無法松が密かに慕う夫人役が園井恵子である。いわば「フーテンの寅さん」のマドンナである。もし生きていたら、戦後の映画にはたくさん出演しただろう。
人生には、偶然とかたまたまとかがつきまとう。
もっとも不運なのは、隕石にあたって死ぬことだと聞いたことがある。
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サッカーの試合を見ていて、これは運だなと思います。もちろん選手は真剣ですが、
ボールがポストやバーに当たったり、判定が変だったり。
運がよければ、日本は勝ち進むかもしれませんね。隕石に当たる確率は限りなく
0に近いでしょう。
投稿: リプル | 2022年12月 5日 (月) 10時04分