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2023年1月16日 (月)

『夢の砦』

 暮れに矢崎泰久さんが亡くなったことについては少しふれた。

 改めて矢崎泰久さんについて書いておこう。当ブログではその著作『人生は喜劇だ』を紹介したことがある(2020/12/18)。昨年の秋、『夢の砦』出版された。和田誠との共著である。「話の特集」が誕生した頃を振り返ったもの。和田誠は創刊号から「話の特殊」のグラフィックデザインを受け持った。無料で。タダだから内容にも口を出した。

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『夢の砦』は創刊間近い頃から最盛期のころを振り返ったもので、対談など大半は再録である。改めて読んでみて、図抜けたおもしろい雑誌だったことがわかる。矢崎編集長は和田誠に操り操られながらすぐれた企画を残した。川端康成の「雪国」のパロディ(文体模写)はつとに有名で、和田誠の才能が凝縮されている。『倫敦巴里』にも採録されているが、それより今回の『夢の砦』の方が多く採られている。雑誌掲載中、これを読んでは大笑いしたりニヤニヤしたりした。誰もがそうだった。

「暮しの手帖」のパロディもおもしろい。リボルバーの拳銃を「暮しの手帖」風に商品テストしたものだ。題して「殺しの手帖」。もちろんイラストもそれらしのだが、単にモノマネではないところが高尚である。

 反権力反権威反体制をユーモアでくるんでいたというが、そうでなければパロディエンターテイメントは成立しない。くるんだのは和田誠。単純にというか純粋におもしろかった。

 あれこれ書き出すときりがないのでやめておく。

 まさに「話の特集」は夢の砦であった。本書は小さな出版社から出ているせいか、大きな本屋しか置いてない。近所の有隣堂や三省堂(最近できた)にはない。取り寄せるかネットで注文するか、ぜひお読みいただきたい。 

 ついでのひとこと

「雪国」の文体模写からひとつ紹介しておく。宇能鴻一郎。ポルノだが、中身はソフト。

「・・・トンネルに汽車が入ると、あたし、いけないことを連想しちゃうんです。ああ、あたしにも逞しい汽車が入ってきて欲しい。なんて思ったりして・・・。」

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