無料ブログはココログ

«  パンデミックの終焉となるのか | トップページ | グランマ・モーゼス »

2023年1月29日 (日)

「イニシェリン島の精霊」

アラン」という戦前のキュメンタリー映画がある。アイルランドの南西にある島の自然と暮らしを描いたもので、記録映画の原点というかひとつの金字塔のような作品と評価されている。多少のやらせ感(演出)があるものの、自然の脅威には圧倒される。

 畑の土も吹き飛ばされるような風の強い島で、風除けの石垣を積み、わずかな土でジャガイモを育てる。海岸で集めた海草を肥料にする。海に出てジンベイザメを捕獲して、その脂を灯りにする。過酷な日常を描いている。よくそんなところで暮らせるものだとかと心配になるが、先祖はそこに追いやられ、強風の中で暮らすしかなかったのだろう。

Dsc_3106-1

イニシェリン島の精霊」をイオンシネマで観てきた。イニシェリン島は架空の島だが、モデルはアラン島。実際、そこで撮影された。

 風が強いシーンが描かれているのかと思ったら、そんなことはなかった。風はなく、雨降るシーンもない。あてが外れた。期待していたわけではないが。穏やかな風景である。

 奇妙というかミステリアスな映画だ。

 パトリックは親友であると思っていた年上のコルムから絶交を告げられる。訳が分からない。理由を訊いても答えない。関係修復を図るが、これ以上近づくと、自分の指を切り落とすとコルムは叫ぶ。指がなければコルムは楽器を弾けなくなる。パトリックは戸惑うばかりである。

 そして、事態は深刻な方向へと転がっていく。

 風は吹いていないが、島は草が生えているだけである。冬の風は厳しく、さぞや寒かろうと想像される。

 時代は1920年代。アイルランド本島では内戦が始まっている。ときおり砲弾の音が聞こえる。島は平穏だが、いつ戦いに巻き込まれるかもしれない。

 結末は言えない。ネタバレを避けるが、結末を見ても納得できる訳ではない。犠牲の交換がなければ事態は収束しない。諍いが続くってことはいいことだ。それに似たようなセリフがあった。

二人の諍いはアイルランド内戦のメタファーと考えればよいとも思うが、それにとどまれば、は判断中止になってしまう。

 不思議でわからない部分があるけれど、深い。おもしろい映画だ。

«  パンデミックの終焉となるのか | トップページ | グランマ・モーゼス »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

«  パンデミックの終焉となるのか | トップページ | グランマ・モーゼス »