無料ブログはココログ

« 2023年1月 | トップページ | 2023年3月 »

2023年2月

2023年2月28日 (火)

「別れる決心」

 韓国映画「別れる決心」を観てきた。この映画、カンヌで監督賞を受賞している。日本映画なら大々的に報道されただろうが、異国となると扱いは小さくなる。カンヌでのことは知らなかった。

Dsc_3161

 サスペンスものである。転落事故が発生する。事故か殺しか、チャン・へジュン刑事は殺しの可能性があるとみて捜査に乗り出す。疑わしいのは転落死した男の妻ソン。警察に呼んで調書をとったり張り込みしたりする。ソンは中国出身、複雑な過去が明らかになっていく。それと平行して、というより最初からと言ったほうがよいか、ヘジュンはソンに惹かれていく。新たな証拠が見つかり事件は解決したかにみえたが、あらたな疑問も沸いてくるといったストーリー。松本清張の初期の作品を連想させる。

 ソンはファムファタール(運命の女)のようでもあるが、そうでもない。ヘジュンがオムファタール(運命の男)であるかもしれない。二人の揺れ動く心が描かれる。

 よくわからない部分もある。もう一度観ないと正しいことは言えない(もう一度観てもわからないままかもしれない)。ソン役のタン・ウェイがいい。魅力的な俳優さんだ。それに見とれていた。

 ラストは印象的。こういうクロージングはわるくない。が、なぜ、こういう決着となるかとなると、実のところよくわからない。

ついでのひとこと

 おとといのことだが、昭和音大のジャズコース・ポピュラー音楽コースの卒業ライブに行ってきた。場所はテアトロ・ジーリオ・ショウワ。卒業生にとっては、猛練習の成果を披露する大舞台である。学生とはいえ、レベルは高い。中には一流のプロと伍していける逸材もいる。

 途中休憩があるものの4時間近くのライブだった。たっぷり楽しんだ。ちょっと疲れた。

 その前日は、日本映画大学の卒業制作上映会がイオンシネマであった。ドキュメンタリードラマが6本。こちらは都合で観ることができなかった。

 新百合ヶ丘ならでは卒業イベント。しんゆりは、映画と音楽の街である。

2023年2月26日 (日)

「BLUE GIANT」

 マンガを読まなくなったのは四半世紀前、50歳のころだった。「ビッグコミック オリジナル」の定期購読をやめた。いい歳をした男が通勤電車でマンガ雑誌を広げるってこともあるけれど、吹き出しの字を追うのが煩わしくなったからだ。目の衰えか。

 アニメ映画の「BLUE GIANT」を観てきた。「ビッグコミック」本誌に連載されていたマンガが原作である。もちろん読んでいない。

 予告編を観て、ジャズのサウンドを聴いた。ああ、これはぜひ観たい、大音響でジャズを聴きたいという気持ちになった。

Dsc_3144

 サックス奏者を目指す若者とその仲間の物語である。ストーリーは二の次、大音響でジャズ演奏を聴く。ジャズサウンドのシャワーをたっぷり浴びた。

 満足した。文句をつけるなら、吹き替えというか声優のしゃべりだ。どうも耳に居座りが悪い。今回の声優がわるいというわけではなく吹き替え全般に言えることだが、口調が引っかかる。吹き替えには独特の口調がある。あのしゃべりが耳障りなのだ。ふつうにしゃべればいいのにと思う。

 映像、街の風景はよい。夕焼けや夜の景色は美しい。アニメの、特に風景の映像は進化している。それとは逆に、人の仕草が今一つである。ピアノを弾くシーンがあるが、指づかいが稚拙。せっかくのジャズ演奏なのだから、そこに力を入れ、本物の指の動きのようにすべきだろう。それが面倒なら、指の動きは映像にしなくてもよい。

 この映画は、ときどき目をつぶって観るのがよい。耳に集中してサウンドのシャワーを浴びるのがよい。

 ついでのひとこと

 松本零士が亡くなった。好きな作品に「宇宙戦艦ヤマト」を挙げる人が多いが、アタシは「男おいどん」。あれ好きだった。世代によって好みは違ってくるかもしれない。サルマタケがなつかしい。

 

2023年2月24日 (金)

談笑独演会

 百合ヶ丘の「轍」というコーヒーショップというかバーで落語会が開かれた。演者は立川談笑である。

 会場は、当初、麻生市民館の予定だった。1000人収容できる大ホールである。ダイレクトメールで案内がきて、さっそくチケットを買ったのだが、しばらくして会場が変更になったとの手紙がきた。チケットの売れ行きが芳しくないので会場を変更するとのことだった。

Dsc_3043

 よほどの人気噺家でないと1000人の席は埋まらないだろうと危惧していた。チラシも大してまいてない。案の上であった。

 ふつうの小さな洋風居酒屋。客数は30人ぐらい。1000から30に。都心から離れると、こんなものか。「笑点」に出てないもんな。

 立川談笑は談志の弟子の四天王の一人。本寸法ではなく、ちょっと外して改作を売り物にしている。「シャブ浜」「ジーンズ屋ようこたん」「イラサリマケー」など改作の名作と言われるものがいくつもある。熱狂的なファンがいるが、それは限られる。テレビにはときどきでているが、レギュラーでないと人気は広がらない。アタシは大ファンで、毎月のように談笑を聴いていた時期がある。

 さて、本日の演目。

 時そば

 千早振る

 文七元結

 いずれもポピュラーな噺である。「千早振る」はオーソドックスに演じたが、トリネタの「文七元結」は改作魂の籠もった噺となった。

「文七元結」の主人公左官の長兵衛には一人娘のお久がいるが、実は長男の長吉がいたという設定に変えている。長兵衛は腕のいい左官職人だが、博打にのめり込む。唐突である。のめり込むには理由があるはずだが、本来の物語ではわからない。

その穴を談笑は埋める。長兵衛には息子・長吉がいた。跡継ぎにしようとしていた長吉を死なせてしまった。長兵衛は嘆き、仕事が手に着かなくなる。それで、博打におぼれていくこととした。この方が自然だというのが談笑の了見である。

 この改作のネタおろしをアタシは聴いている。何年も前のことだ。北沢タウンホールだった。評論家の広瀬和生さんのリクエストに応じた改作である。それからも調整して現在に至っている。今回もオチを変えている。ふつうのオチ(その後、文七とお久が結婚して・・といった後日談)のあと、文七とお久に子が産まれて、といった後日談を付け加えている。

Dsc_3152

 窮屈な高座での熱演であった。3時間近く俄かづくりの高座(写真がそれ。店主は自転車とジャズが好きのようである)に座り続けた。前座による開口一番は無く、中入り(トイレタイム)も足を崩して高座でしゃべり続けた。サービス精神満点の落語会であった。

 客も窮屈だったが、アタシもほかの客も満足した。

2023年2月22日 (水)

 浅草で昼呑み

 浅草に行ってきた。久しぶりだが、前回がコロナ前だったか、最中だったか記憶にない。たしか外国人観光客が少なかったような気もするから、

コロナの最中だったかもしれない。ま、どっちでもいい。

 雷門あたりはたいへんな混雑。少し外れれば人も少ない。

Dsc_3149

 友人たちとまず浅草観光センターに昇って、浅草を俯瞰する。写真がそれ。仲見世通りの混雑ぶりがわかる。右にはアサヒビールビル越しに東京スカイツリーがきれいに見える。きょうは快晴だ。

 浅草演芸場の前をとおり、牡蛎を売り物にするレストランというか呑み屋で昼呑み。メンバーはいずれも後期高齢者。たわいもないおしゃべりで時が過ぎていく。この店、どういうわけか、客は我々のみ。あまり流行っていないようだ。

 途中は省いて、帰りがけに神谷バーデンキブランのボトルを買った。これがむちゃくちゃ安い。物価の優等生という表現があるが、デンキブランは酒類の優等生である。逆に言うと、よほど安い原料で作っているのではないかと思う。

Dsc_3151

 ということで、浅草に行ったら、人形焼ではなく、デンキブランをお土産にするのがよい。酒のみは喜ぶぞ。

2023年2月20日 (月)

「対峙」

 ときどき銃乱射事件が起きる。比較的銃が手に入れやすいアメリカで起きる。

 2018年、フロリダの高校で事件は起き、10人の高校生が犠牲になった。加害者も自殺したから死亡者は11人になる。数年後、被害者の両親と加害者の両親4人が対面した。そのときの会話の記録に基づいて映画化されたのが「対峙」である。

 どういう経過で話し合いの場がもたれたのかはよくわからない。場所は教会の一室。映画のほとんどのシーンはこの部屋。だからドキュメンタリー映画を観ているようでもあり、舞台劇を観ているようでもある。

Dsc_3140

 それにしてもシリアスである。観客はシリアスであることを覚悟しているが、事態の展開については予想していない。

 冒頭から緊張感が広がる。いずれの親もぎこちない。被害者の親は申し訳ない気持ちと子育てが間違っていたかもしれない、事件を引き起こす兆候を見逃したと語る。被害者の親はなぜ死ななければならなかったか、止めることはできなかったかを問う。互いに冷静であろうと努めるが、ときに感情が爆発する。

 感情の交錯・・・観客もヒリヒリした感情におそわれる。

 で、話し合いの意味はあったのかというと、わからない。映画は安易な結論、たとえば癒しがあったとか、心の救済がといったことは描かない。多少のカタルシスはあった。 4人はいずれもベテランの舞台俳優と思われる。感情の起伏など演技力には圧倒させられる。

 家族愛とか子を想う親の気持ちなどに言及することもできるが、安易には語りたくはない。

2023年2月18日 (土)

 にせもの猿魚

 先週の新聞に、上半身はサル、下半身は魚の物体、ミイラのようなものが岡山のお寺に大切に保管されているという記事が載っていた。研究グループがエックス線などを使って調べたところ、19世紀後半に作られたものだと判明したという。

 ああ、これと同じようなものは見たことがある。千葉県佐倉市にある国立歴史民族博物館で開催された「にせもの博覧会」。ここで展示されていた。にせもの展を見学するため、遠路佐倉まで出かけた。

  図録を買った。書棚にあるはずだが、見つからない。あれこれ探すうちに奥の方にあった。

Dsc_3143

 開催されたのは2015年。8年前。そんなに前か。写真は図録に載っていた半身魚というか猿魚である。岡山のものと同類であろう。

 珍しいものではなく、幕末から明治にかけてたくさん作られた。多くはヨーロッパに輸出された。図録には、作製の仕方が載っている。中身をくり抜いて詰め物をして、二つをくっつけて膠で固める。ひとことでいうとそうなる。異形なミイラである。値段は60両。けっこういい値である。

 なぜこんなグロテスクなものが作られ輸出されたかはわからない。不可思議な動物のミイラであるが、輸出品としてけっこう外貨を稼いだ。オリエンタリズムのひとつとして珍重されたのだろう。

それで思い出したのがアホウドリの羽根である。大量に輸出され、外貨を稼いだ。婦人用の帽子の羽根飾りとして使われた。大量のアホウドリが捕獲さr、アホウドリは絶滅寸前までいった。鳥島という島があるが、鳥とはアホウドリのことである。尖閣にもアホウドリがいた。

南の島にはアホウドリがいて、これを目指して日本の船は島を目指した。

功罪がある。アホウドリは絶滅しかけたが、日本は南浦諸島を領有することになった。

2023年2月16日 (木)

 もういちど「ベルファスト」

 もういちど「ベルファスト」

 

 昨年観た映画でいちばん印象に残っているのは「ベルファスト」である。3月に観ている。

 1969年、北アイルランドの首都ベルファストで暴動が起きる。カソリック系とプロテスタント系の対立である。9歳の少年バディも巻き込まれることになる。

  父親は2週間ごとロンドンに出稼ぎに出ている。ベルファストでは低賃金の仕事しかないからだ。ずっとここで住み続けたいが、家計を考えればそうもいかない。暴動に巻き込まれる怖れもある。移住が切実な課題になる。といったストーリーである。

Dsc_3118

  アートセンターで「ベルファスト」を観てきた。昨年はシネコンで観た。なぜ今頃上映するのかわからない。リクエストが多くあったからかもしれない。もう一度観たくなる映画だからね。

 映画好きのバディは家族そろって映画館に出かけたり、テレビで映画を観たりしている。なつかしい映画がスクリーンに映し出される。「真昼の決闘」「恐竜100万年」「クリスマスキャロル」「リバティバランスを射った男」「チキチキバンバン」など。とりわけ「真昼の決闘」のテーマソングがカソリック系とプロテスタント系の対立場面で高らかに流れるシーンがいい。ドゥ・ナット・フォシェイク・ミー・オー・マイ・ダーリン・・・・胸に響く。若い人にはわからないだろうが、高齢の映画好きにとっては胸キュンのシーンなのだ。

 この映画のもうひとつの面白さは底辺に流れるユーモアである。とりわけバディのおじいちゃんやおばあちゃんのやりとりがほほえましい。機知に富んだことばもある。

 印象に残ったおじいちゃんのことば

  バディに算数を教えながら「正解はいくつもある。それを一つにするから、紛争や対立が生まれるんだ」

 アイルランド訛りではロンドンでは通じないかとバディが心配すると、そんなことはない。おばあちゃんがなにを言っているか何年経ってもわからない。でも、問題はない。ずっと仲良く暮らしている。

 と、こんな調子。もういちど観てみたくなる。高齢者にはとくにお薦め。上映している映画館はないかもしれないが、動画配信ならある。

2023年2月14日 (火)

「バビロン」

 ブラッド・ピット主演の「バビロン」を観てきた。ハリウッドを、栄華を誇った古代都市バビロンになぞらえたタイトルだ。

Dsc_3138

 1920年、ハリウッドの映画産業は活況を呈していた。撮影現場はドタバタ様相。小さなトラブルなどなんのその、強引に撮影は進む。夜となれば乱痴気パーティ。バビロンの狂騒を思わせる。

 この撮影現場を映す冒頭シーンが目まぐるしいけど、圧倒される。すばらしい。

 映画製作に携わりたいメキシコ人の青年(ディエゴ・カルバ)、トップ俳優(ブラッド・ピット)、新人女優(マーゴット・ロビー)を軸にストーリーは進む。

 20年代はローリング・トゥエンティーズ(狂騒の20年代)である。映画はサイレントであるが、トーキーに変わりつつあった。

 トーキーは革命である。音入りのため、声の悪い俳優は排除され、撮影方法も変わる。天井からマイクが吊るされ、カチンコが鳴る。俳優の立ち位置が違うと何度も撮り直しになる。何テイクも取り直されるシーンが続く。このあたりは面白い。

 映画のタッチはスラップスティップ(ドタバタ)である。そしてちょっとグロ。象の糞尿を浴びたり、ゲロを大仰に吐いたり。モンティ・パイソンを連想させる。グロテスクなシーンは嫌いではない。

 ただし、3時間は長い。後半を少し縮めて2時間ぐらいにしたら引き締まったいい映画になったたんじゃないか。

 観客としてはハリウッドの虚栄を楽しめばよい。音楽、とりわけジャズトランペットが素敵だ。

 ゴールデングローブ賞では、ミュージカルコメディ部門でノミネートされている。ミュージカルには違和感があるがコメディであることは間違いない。楽しめる。

2023年2月12日 (日)

 新百合ヶ丘落語会 雀々・兼好

 ダブルブッキングしてしまった。

 文珍独演会のチケットを取っていたのを忘れて、同じ日同時刻の落語会のチケットを買ってしまったのだ。私としたことがと言いたいところだが、年のせいか、うっかりミスが多くなった。その一例がこれ。

 どうするか。妻に言うと、行く!行く! 文珍なら聴きたいとの返事。ならば今回は文珍は妻に回して「新百合ヶ丘落語会」に行くことにした。こちらの主な演者は桂雀々三遊亭兼好。人気の噺家である。人気の演者が新百合ヶ丘でバッティングすることもなかろうと思うが、たまたまのことであろう。

Dsc_3117

 で、演目

 雀々  代書屋

 兼好  お見立て

 雀々は会場を間違えて市民館に行ってしまったという。多くの人が並んでいる。これはうれしいと思ったのだが、文珍独演会だった。ちなみに二つの会場はすぐそば。5分と離れていない。

 こちらの21ホールは3分の1の入り。文珍の方はたぶん満席だろう。

 まくらで若旦那について。大師匠(米朝)の息子は典型的な若旦那。いつもにぎやかで明るい。ツメが甘いところも若旦那。ふだん化粧をして高座にあがる。雀々はその仕草を大仰に演る。笑える。その化粧の様子をみて米朝は絶妙のつっこみを入れるんだそうだ。息子とは米團治小米朝時代のエピソードだろう。

「代書屋」は軽い滑稽噺だが、これをさらにおもしろおかしく大仰にやる。汗をかきかきやるのが雀々風である。

 兼好もいつもどおり明るくとばす。おとぼけの中にちょっぴり毒を交えて笑わせるのが兼好流である。

 前座の噺や大神楽もあったのだが、それはいらないと思うが、大きな声では言えない。

 帰宅した妻にどうだったと聞くと、ほぼ満席だった、すごくおもしろかったという返事。1000席の大ホールがほぼ埋まったとはさすが文珍。三席やった。演目を写真に撮っておいてもらった。

携帯供養」「宿屋仇」「天狗裁き」。「携帯供養」は新作だから、内容はわからない。

 次回の文珍独演会はぜひ一緒にと妻は言う。はい、了解。

ついでのひとこと

大相撲中継。初場所11日目、客席に雀々がいるのをみつけた。マスクをしているが、雀々にまちがいない。相撲も観るんだ。

2023年2月10日 (金)

ルフィの世界

 新型コロナは、マスコミでの取り扱いは小さくなった。統一教会問題も息切れ状態にある。ウクライナ侵攻も膠着状態のようで、現地はともかくとしてマスコミの扱いは縮小している(侵攻一年となる今月下旬は再び大きく扱われる)。

  それに代わって大々的に報じられているのは、一連の特殊詐欺・広域強盗事件である。元締めのフィリピンからの送還、逮捕がメインニュースになり、指示役のルフィがだれなのかなど紙面をにぎわせている。

 ルフィグループは、しだいに残忍な方向に走り、暴行、そして人殺しまでエスカレートしていった。

Dsc_3129  

  池波正太郎の小説に登場する盗賊グループはこれとちがって自制的なルールを自らに課している。フィクションと現実の世界を比べるのはナンだけど、比較したくなる。

 その戒めは三っつ。人を殺めてはならない。女を手込めにしてはならない。もうひとつは、相手の身代が傾くほどの盗みはしない。

 ルフィグループは、下見はしているが、さほど準備をしているわけではない。これに比べ池波小説の盗賊は周到である。ねらいをつけた大店に女中や下働きとして手下を潜りこませ、家の間取り、金庫の在処を調べておく。決行日には戸を開け、侵入を手助けする。こんな調子で手際よく金を奪い、逃げる。

 ルフィグループの、実行犯のリクルートは粗雑で、犯行も荒っぽい。急ぎ働きとなっていった。

 それはともかくとして、フィリピンにいた指示役4人の顔写真がテレビでは映し出されている。どことなくみんな似ている。ヘアスタイルのせいか。この中の一人を桂宮治と差し替えても違和感はない。笑点レベルのギャグ。笑いをとるとするとその程度しか思いつかない。

2023年2月 8日 (水)

「仕掛人 藤枝梅安」

 ことしは池波正太郎生誕百年にあたる。

 映画「仕掛人 藤枝梅安」はそれを記念してつくられた。

 池波正太郎のシリーズものでは、「剣客商売」「鬼平犯科帳」よりこの藤枝梅安ものがわたしの好みにあう。梅安が背負っている虚しさ、人生観がなにより刺さるのだ。

 生い立ちは暗い。姉を殺め、江戸に出て鍼医のもとで修業する。評判の鍼医となるが、裏稼業は殺しである。誰でも殺すわけではない。悪徳商人など世から抹殺した方がよい人物の殺しを元締めから請け負う。武器は商売道具の鍼(治療用の鍼より太い)。そんな裏稼業だから、まともな死に方はしないと自覚している。虚無が漂っている。

Dsc_3103

 テレビドラマとして仕掛人とか仕置人とかシリーズ化されてきた。これもおもしろい。出来はよいが、原作のもつ虚しさのようなものは薄められている。

 これまで梅安役は何人もが演じてきた。テレビ・映画を通じて緒方拳が印象に残っている。いま上映中の「仕掛人 藤枝梅安」では豊川悦司が演じている。

 設定は同じだが、今回のストーリーはちょっと込み入っている。登場人物が多い。殺し(仕掛け)の場面も多い。詰め込み過ぎの感がある。やはり盛り上がったところで鍼を取り出すのがよい。決め技は最後にまわす。殺しのシーンは少なくした方がより効果的になる。

 相棒は彦二郎(ひこさん)。今回は片岡愛之助が演じている。トリビアな知識を披露しておくと、彦次郎の名は当時講談社の編集者であった大村彦次郎さんから採っている。大村さんはのちに文芸評論家として何冊も本を買いている。これがおもしろい。お薦め。

 4月には続編が公開される。映画のエンドロールが終わった後で、次回につながるエピソードが映し出される。舞台は京都になるようだ。

 そういえば、テレビシリーズのどれかで、小林旭が主題歌を歌っていたのを思い出す。くさく歌う。「男はつらいし、女もつらい・・」

2023年2月 6日 (月)

 モンティンダンさん支援

 ミャンマーの軍事クーデターから2年がたった。

 民主勢力や国民のデモか起き、いずれ軍事政権は倒れるとおもっていたのだが、予想は外れた。軍部は居座り、政権を譲り渡そうとはしていない。このまま政権にとどまる気配である。諸外国は経済制裁を強化しているもののうまくいっていない。日本政府は表向きは政権批判をしているが。ODAなど政府支援を続けている。

Dsc_3105

 アートセンターで、ミャンマーでいまだ拘束されている映像作家を支援するイベントがひらかれた。

 モンティンダンさんは日本映画学校の出身。日本とミャンマーを行き来しながら劇映画やドキュメンタリー映画をつくってきた。ミャンマーでの抗議活動を撮影中、逮捕された。3年の実刑判決を受け、現在も拘束されている。

 今回は、モンティンダンさんがかつて監督した二本の短編映画の上映とトークショー。トークゲストは久保田徹さんと北角裕樹さん。久保田さんはデモを取材中に拘束され、モンディダンと同じ刑務所に入れられていた。北角さんも一時拘束されていた。

 久保田さんは刑務所でときおり会うことができた。本の差し入れをしたりした。ダンさんは7歳の時に来日しているので日本語は母語のようにできる。永住権も取得している。(今回上映した「エイン」は学校に馴染めない少年の物語。ダンさんの経験をベースにしている)

  現在、ダンさんとどのように連絡をとっているかなどの説明があった。こまかなことは省くが、はやく解放されるよう願う。まだ一万人以上の人が獄に拘束されている。これもなんとかならないものかと願うばかりだ。

ミャンマーだけでなく、独裁政権となり、不自由な国が増えている。ソビエト崩壊以降、自由で民主的な国が増えたと思っていたが、ここ何年かでアジアやアフリカを中心に独裁政権が押し返している感がある。これも気になる。

2023年2月 4日 (土)

「ケイコ 目を澄ませて」

 女性ボクサーを描いた映画といえば、まずイーストウッドの「ミリオンダラー・ベイビー」を思い浮かべる。日本映画なら「百円の恋」である。

Dsc_3116

ケイコ 目を澄ませて」をアートセンターで観てきた。女性ボクサーものである。さらに聴覚障害が加わる。ボクサーにとって耳が聞こえないのは致命的である。セコンドの声が聞こえない。ゴングも観客の声援も聞こえない。耳を澄ませてというわけにはいかない。目を澄ませて相手の動きをさぐり、ウィービングする。そしてパンチを放つ。

 主演は岸井ゆきの。ジムの会長は三浦友和。脳梗塞によりジムを続けることは難しくなる。まもなくクローズすることが明らかになる。

 たんたんと描かれている。ドキュメンタリー映画のようである。途中になって気づいた。バックグラウンドミュージックはない。「ロッキー」は激しいリズムの楽曲が流れるが「ケイコ」では一切ない。エンディングでも流れない。ぐっと抑えている。

感動的に描いていない。悩みや将来に向けての迷いもあるが、ひたむきに練習に打ち込む姿が印象に残る。

 今回は、字幕付きだった。耳が不自由な人にも観てもらえるように配慮している。セリフだけでなく、雑音もかっこ付きで文字になっている。

「キネマ旬報」は、この「ケイコ 目を澄ませて」を22年度のベストワンに選出したという新聞記事があった。いい映画だけど、ベストワンにするには、ちょっとジミだな。

 

2023年2月 2日 (木)

自転車レーン

 自転車にぶつけられたことがある。左脇にぶつかった。

 横断歩道を渡っているとき、後ろからきた自転車が私の前を斜めに横切ろうとして接触した。突然のことで驚いた。幸い、たいした事故にはならなかった。自転車に乗っていたのは、おばさんというよりおばあさんだった。

 自転車はけっこう危ない。車道を走るのがルールになっているが、歩道を走ることが多い。車道を走るより歩道を走った方が安全にみえるが、歩行者とぶつかおそれがある。歩行者がいるときは車を降りて押して歩くのが正しいのだが、それを守る人は少ない。

Dsc_3112

 新百合ヶ丘近辺の大きな通りに自転車レーンの表示がされるようになった。自転車はここを通れということだが、専用レーンではないから、自転車はここを走りたくはない。自動車がここに一時駐停車していたら、車道中央を回って走らなければならない。これは危険。だから歩道を走りたくなる。その気持ちはよくわかる。

 きょう、眺めていたら、このレーンを走る自転車がいた。レーンマークの効果である。定着するのを期待したい。

« 2023年1月 | トップページ | 2023年3月 »