もういちど「ベルファスト」
もういちど「ベルファスト」
昨年観た映画でいちばん印象に残っているのは「ベルファスト」である。3月に観ている。
1969年、北アイルランドの首都ベルファストで暴動が起きる。カソリック系とプロテスタント系の対立である。9歳の少年バディも巻き込まれることになる。
父親は2週間ごとロンドンに出稼ぎに出ている。ベルファストでは低賃金の仕事しかないからだ。ずっとここで住み続けたいが、家計を考えればそうもいかない。暴動に巻き込まれる怖れもある。移住が切実な課題になる。といったストーリーである。
アートセンターで「ベルファスト」を観てきた。昨年はシネコンで観た。なぜ今頃上映するのかわからない。リクエストが多くあったからかもしれない。もう一度観たくなる映画だからね。
映画好きのバディは家族そろって映画館に出かけたり、テレビで映画を観たりしている。なつかしい映画がスクリーンに映し出される。「真昼の決闘」「恐竜100万年」「クリスマスキャロル」「リバティバランスを射った男」「チキチキバンバン」など。とりわけ「真昼の決闘」のテーマソングがカソリック系とプロテスタント系の対立場面で高らかに流れるシーンがいい。ドゥ・ナット・フォシェイク・ミー・オー・マイ・ダーリン・・・・胸に響く。若い人にはわからないだろうが、高齢の映画好きにとっては胸キュンのシーンなのだ。
この映画のもうひとつの面白さは底辺に流れるユーモアである。とりわけバディのおじいちゃんやおばあちゃんのやりとりがほほえましい。機知に富んだことばもある。
印象に残ったおじいちゃんのことば
バディに算数を教えながら「正解はいくつもある。それを一つにするから、紛争や対立が生まれるんだ」
アイルランド訛りではロンドンでは通じないかとバディが心配すると、そんなことはない。おばあちゃんがなにを言っているか何年経ってもわからない。でも、問題はない。ずっと仲良く暮らしている。
と、こんな調子。もういちど観てみたくなる。高齢者にはとくにお薦め。上映している映画館はないかもしれないが、動画配信ならある。
「映画」カテゴリの記事
- 「リアル・ペイン」(2025.02.03)
- 「オークション 盗まれたエゴン・シーレ」(2025.02.01)
- 「雪の花」(2025.01.30)
- 「室町無頼」(2025.01.24)
- 「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」(2025.01.14)
コメント