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2023年2月 8日 (水)

「仕掛人 藤枝梅安」

 ことしは池波正太郎生誕百年にあたる。

 映画「仕掛人 藤枝梅安」はそれを記念してつくられた。

 池波正太郎のシリーズものでは、「剣客商売」「鬼平犯科帳」よりこの藤枝梅安ものがわたしの好みにあう。梅安が背負っている虚しさ、人生観がなにより刺さるのだ。

 生い立ちは暗い。姉を殺め、江戸に出て鍼医のもとで修業する。評判の鍼医となるが、裏稼業は殺しである。誰でも殺すわけではない。悪徳商人など世から抹殺した方がよい人物の殺しを元締めから請け負う。武器は商売道具の鍼(治療用の鍼より太い)。そんな裏稼業だから、まともな死に方はしないと自覚している。虚無が漂っている。

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 テレビドラマとして仕掛人とか仕置人とかシリーズ化されてきた。これもおもしろい。出来はよいが、原作のもつ虚しさのようなものは薄められている。

 これまで梅安役は何人もが演じてきた。テレビ・映画を通じて緒方拳が印象に残っている。いま上映中の「仕掛人 藤枝梅安」では豊川悦司が演じている。

 設定は同じだが、今回のストーリーはちょっと込み入っている。登場人物が多い。殺し(仕掛け)の場面も多い。詰め込み過ぎの感がある。やはり盛り上がったところで鍼を取り出すのがよい。決め技は最後にまわす。殺しのシーンは少なくした方がより効果的になる。

 相棒は彦二郎(ひこさん)。今回は片岡愛之助が演じている。トリビアな知識を披露しておくと、彦次郎の名は当時講談社の編集者であった大村彦次郎さんから採っている。大村さんはのちに文芸評論家として何冊も本を買いている。これがおもしろい。お薦め。

 4月には続編が公開される。映画のエンドロールが終わった後で、次回につながるエピソードが映し出される。舞台は京都になるようだ。

 そういえば、テレビシリーズのどれかで、小林旭が主題歌を歌っていたのを思い出す。くさく歌う。「男はつらいし、女もつらい・・」

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