「ケイコ 目を澄ませて」
女性ボクサーを描いた映画といえば、まずイーストウッドの「ミリオンダラー・ベイビー」を思い浮かべる。日本映画なら「百円の恋」である。
「ケイコ 目を澄ませて」をアートセンターで観てきた。女性ボクサーものである。さらに聴覚障害が加わる。ボクサーにとって耳が聞こえないのは致命的である。セコンドの声が聞こえない。ゴングも観客の声援も聞こえない。耳を澄ませてというわけにはいかない。目を澄ませて相手の動きをさぐり、ウィービングする。そしてパンチを放つ。
主演は岸井ゆきの。ジムの会長は三浦友和。脳梗塞によりジムを続けることは難しくなる。まもなくクローズすることが明らかになる。
たんたんと描かれている。ドキュメンタリー映画のようである。途中になって気づいた。バックグラウンドミュージックはない。「ロッキー」は激しいリズムの楽曲が流れるが「ケイコ」では一切ない。エンディングでも流れない。ぐっと抑えている。
感動的に描いていない。悩みや将来に向けての迷いもあるが、ひたむきに練習に打ち込む姿が印象に残る。
今回は、字幕付きだった。耳が不自由な人にも観てもらえるように配慮している。セリフだけでなく、雑音もかっこ付きで文字になっている。
「キネマ旬報」は、この「ケイコ 目を澄ませて」を22年度のベストワンに選出したという新聞記事があった。いい映画だけど、ベストワンにするには、ちょっとジミだな。
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