「バビロン」
ブラッド・ピット主演の「バビロン」を観てきた。ハリウッドを、栄華を誇った古代都市バビロンになぞらえたタイトルだ。
1920年、ハリウッドの映画産業は活況を呈していた。撮影現場はドタバタ様相。小さなトラブルなどなんのその、強引に撮影は進む。夜となれば乱痴気パーティ。バビロンの狂騒を思わせる。
この撮影現場を映す冒頭シーンが目まぐるしいけど、圧倒される。すばらしい。
映画製作に携わりたいメキシコ人の青年(ディエゴ・カルバ)、トップ俳優(ブラッド・ピット)、新人女優(マーゴット・ロビー)を軸にストーリーは進む。
20年代はローリング・トゥエンティーズ(狂騒の20年代)である。映画はサイレントであるが、トーキーに変わりつつあった。
トーキーは革命である。音入りのため、声の悪い俳優は排除され、撮影方法も変わる。天井からマイクが吊るされ、カチンコが鳴る。俳優の立ち位置が違うと何度も撮り直しになる。何テイクも取り直されるシーンが続く。このあたりは面白い。
映画のタッチはスラップスティップ(ドタバタ)である。そしてちょっとグロ。象の糞尿を浴びたり、ゲロを大仰に吐いたり。モンティ・パイソンを連想させる。グロテスクなシーンは嫌いではない。
ただし、3時間は長い。後半を少し縮めて2時間ぐらいにしたら引き締まったいい映画になったたんじゃないか。
観客としてはハリウッドの虚栄を楽しめばよい。音楽、とりわけジャズトランペットが素敵だ。
ゴールデングローブ賞では、ミュージカルコメディ部門でノミネートされている。ミュージカルには違和感があるがコメディであることは間違いない。楽しめる。
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