「小さき麦の花」
現代中国の農村を描いたドキュメンタリーをときどきテレビで見かける。
村落を集約するといったものが多い。農民を別の場所に移転させ、残された農地は放置させるか工業団地にするといったもので、国の農業政策の大きな柱になっている。これまで営々と土とともに暮らしてきた農民にとっては、戸惑いであるが、貧しさから抜け出すチャンスと感じる人もいる。農地をもがれ、さらに貧しくなる人もいる。
アートセンターで「小さき麦の穂」を観てきた。そうした農村改革の一断片を描いている。
10年ほど前の中国西北部の農村。貧乏な家庭同士の二人が見合い結婚をする。夫は畑を耕す。からだが自由とはいえぬ妻はそれを手伝う。ロバも大切な仲間である。畑作業の合間をみて、泥をこね、型にはめて天日干しにする。レンガづくりである。それを積み上げて新居を造る。
農村改革の一環として、廃屋を取り壊すと補助金がでる。それを目当てに移転する人もいる。夫の兄もそうであり、羽振りはよい。
それには目もくれず、夫婦は小麦やトウモロコシを育てる。収穫し、それを出荷するまでも手間暇はかかる。そんな二人を淡々と描いている。
チラチラと見えるのが近代化の波である。潅漑用水は整備され、自家用車も農地の脇を走る。その一方での農耕生活、わかりやすい構図である。そうだから、二人の暮らしはより貧乏くさく感じる。こうやって農民は取り残されていく。家を取り壊せばツバメは帰って来られない。だから、家を取り壊すのはばかられるのだが・・・。
映像も古くささを強調している。古き時代への郷愁を誘う。しかし、現実となれば、そんな時代には戻りたくない。純朴だけれど、切ない。
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