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2023年3月 4日 (土)

「エンパイア・オブ・ライト」

 どんな映画かわからないけど、サム・メンデス監督作品なら、出来は間違いなかろう。「エンパイア・オブ・ライト」を観てきた。タイトルをバンパイア・オブ・ライトと、バンパイアものだと勘違いしていた。

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 1980年、イギリス南部の海岸にあるエンパイア劇場(映画館)が舞台。豪華な劇場を思わせるつくりの映画館である。マネージャーをしている中年のヒラリー(オリヴィア・コールマン)は、精神的に不安定なところがあって病院通いをしている。彼女を悩ませる原因のひとつに支配人によるセクハラがある。支配人を除けば同僚はいい人たちである。

 大学を目指している黒人のスティーブンが新規に雇われる。カリブ海のトリニーダ出身の移民二世である。スティーブンは穏やかで、動物に対しても優しい。ヒラリーはしだいに惹かれていく。ストーリーの軸はヒラリーとスティーブンの恋である。

 時代はサッチャー改革が始まったころ、リストラにより多くの失業者が増えていた。仕事をなくした連中は俺たちの職を奪ったと怒りの矛先を移民労働者に向ける。黒人を差別したり、集団で暴力をふるった。1980年ごろはそんな時代だった。

 上映される映画は当時の話題作である。「レイジング・ブル」「ブルース・ブラザース」「9時から5時まで」「チャンス」・・・。「炎のランナー」は市長を招いてプレミアム上映される。

 80年代を知っている高齢の映画ファンは題名を聞いただけでうれしくなる。映写室には大きなフィルム映写機が備えられている。映写技師がスティーブンに作業を説明するあたりは「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出させる。

 紆余曲折はあるものの物語は穏やかに収束する。仕事仲間や病院の看護師も温かい。

 お勧めです。イオンシネマでの上映は、普段のラインナップを考えると似つかわしくないけれど、歓迎。こういう映画をミニシアターに押し込めておくのはもったいない。

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