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2023年6月11日 (日)

 フランス映画を続けて二本

 このところというか、ずっとと言ったほうがよいか、せっせと映画館に出かけている。新百合ヶ丘にはシネコンとミニシアターがある。郊外の街では珍しい。散歩のついでにコーヒーショップに立ち寄るような感覚で映画を観ることができる。

 アートセンターで続けて二本観た。

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「アダマン号に乗って」

 パリ、セーヌ川に係留されている木造船アダマン号は精神を病む人たちのデイ・ケア・サロンとして利用されている。そこに集う人たちを描いたドキュメンタリーである。

 病名は語られないが、統合失調症の患者が多いように思われる。同じ病気でも症状はまちまち、重い人もいればそうでない人もいる。薬で症状をコントロールできている人もいれば、日によって気持ちに波がある人もいる。

 ドクターとかセラピストがどのくらいの力を発揮しているかわからないけど、患者はみずから積極的にこの船にやってくる。船の中ではそれぞれが役割をもっており、それを果たそうとしている。大切な憩いの場になっているのは間違いない。

 映画は患者の声を拾う。それに徹している。声高に何かを主張しているわけではない。

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「午前4時にパリの夜は明ける」

 80年代の初め、エリザべート(シャルロット・ゲンズブール)は離婚し、二人の子どもと暮らすことになる。ラジオの深夜番組のパーソナリティの仕事に就く。リスナーとのおしゃべりである。ある夜、ひとりの家出少女タルラを街で見かけ、家に連れて行く。短期間なら居てよいと空き部屋に住まわせる。タルラは息子や娘と同世代である。仲よく4人で暮らすことになる。

 タルラは、それでも居心地の悪さを感じたか過去を引きずっているのか、突然、なんらの挨拶もなく家を出て行く。そして数年後、といったストーリーである。

 家出少女といえばトー横に集う若い娘を思い浮かべる。家庭が満足に機能していないとか、家には居たくない事情を抱えている。危なっかしい。タルラもそれと重なる。何かできるかといえば、大したことはできない。ささくれだった気持ちを癒すことはできない。

 いま、ラストシーンを思いだそうとしているのだが、あれっ、どうだったのか、浮かびあがってこない。ぼんやりしていた。

映画はエリザべートのあらたな恋を並行して描いている。80年代のフレンチポップス(シャンソン)が流れる。知らない曲ばかりだが、やさしく響く。

 ついでのひとこと

 いろいろ映画を観ていると、ほかの映画と混同することはないかと訊かれることがある。

 そんなのはしょっちゅう。タイトルを聞いても、さてどんな映画だったか、筋を思い出せないといったことがある。記憶は薄れていく。だからブログで思い返せるようにしている。昨夜の献立を忘れるのと同じですね。

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