ダーク・ウォーターズ 水質汚染
PFAS(ピーファズ)が騒がれるようになっている。
PFASとは有機フッ素の一種。多摩地区では地下水から高い濃度のPFASが検出され、住民の体内での残留量も他の地区よりも数倍高くなっている。いまのところ健康被害は出ていないが、住民にとってはちょっと不安なことである。
原因は、米軍基地(厚木)のタンクからPFASを含んだ泡消火剤が漏れ出たものと推察されている。沖縄の米軍基地からも同様な事例が報告されている。
有機フッ素は人工的に作られたもので、テフロン加工などにつかわれてきた。それを混ぜた泡消火剤は、航空機燃料火災につかわれる。ふつうのものより消火効果が高いのだそうだ。
この有機フッ素についてはアメリカでは30年以上前から社会問題となっているが、日本では知られていなかった。有機フッ素を扱った映画が日本でも公開されたている。その映画を観ればおよそのことはわかる。当ブログでも、その映画(ダーク・ウォターズ)を紹介している。2022年2月1日、1年半ほど前のことだ。
興味深いのは、裁判沙汰である。
テフロン加工を開発したのは化学メーカーのデュポン。デュポンの工場の廃棄物により農場や河川が汚染され、100頭もの牛が死んだ。訴えようとしたのだが協力者がいない。駆け込んだニューヨークの弁護士事務所の弁護士がようやく訴訟を支援してくれることになった。
相手は世界的な大企業。工場はデュポン城下町になっている。被害者であるはずの住民はデュポンの従業員であったり、出入り業者であったり、デュポンなしでは暮らせない人ばかりである。地道な調査を続け、ようやく集団訴訟にこぎつけたのは7年後であった。
この映画、レンタルで観ることができる。関心のある方はぜひ観ていただきたい。
日本の多摩地区での汚染問題。相手は米軍基地になるのか。大きな壁である。政府は動かないだろう。訴訟はともかくとして、原因の追及、汚染防止策は早急にやってもらいたい。
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